１９（Yside） ページ19
「マネージャーっ！早く楽屋来てっ！！！」
スタジオにいた俺達の耳に突然飛び込んで来た、たまの焦った声
「…っ…玉森さんっ？！どうしたんですか！？」
「ミツ、ミツがっ！」
その言葉に、一斉に楽屋へと駆け出した
「横尾さん、走っちゃダメッ！」
健永が後ろから叫ぶけど、そんな事気にしてられなかった
皆と一緒に駆け込んだ楽屋
そこには、ニカに抱えられて横たわり、ヒューヒューと苦しげな呼吸を繰り返すみっちゃんの姿
ニカはパニックになってて、ずっとみっちゃんの名前を繰り返し呼ぶだけだ
「みっちゃんっ、聞こえるっ！？みっちゃんっ！」
肩を叩くとゆっくりと開いた目
「…よ…っ…こっ…」
「みっちゃん、ゆっくり息してっ、大丈夫、大丈夫だから、ゆっくりっ」
擦った背中は、火のように熱い
一瞬みっちゃんの目が誰かを探したように見えて、咄嗟に叫んだ
「太輔、早くっ…！」
振り向いた先に見えた太輔は、俺の声にビクリと体を震わせたけれど、一向に来ようとはしない
「太輔っ！」
叫んだ時、みっちゃんがきゅっ、と弱々しく俺の腕を掴むのを感じて…
「みっちゃん…？」
視線をみっちゃんに移した時、一人のスタッフが飛び込んで来た
「車回しましたっ。病院に連絡取れたんで、マネージャーさんが北山さん連れて行かれるそうですっ！」
「俺も行くっ、俺が連れて行くっ！！！」
「ニカ、ミツは大丈夫だから、マネージャーに任せよう？」
「ヤダっ！俺が行くんだっ！！！」
「分かりましたからっ、二階堂さん、北山さんを運びましょう！」
ミツを抱きしめて離さないニカに、スタッフが宥めながら促す
スタッフに支えられながらみっちゃんを背負い、楽屋を出て行くニカ
呆然とそれを見送る俺達…
「太輔…良いのか？お前…」
「…」
「何でよ！？ガヤさんも行きなよっ！早くから追い掛けてっ」
ぐいぐいと押し出そうとする健永にも、太輔は立ち尽くしたまま…
「太輔…」
「……良いんだ」
「どうしてっ」
「……宏光にはニカがいる……俺はもう……宏光とは、別れたから…」
「…っ…！」
体を震わせながら俯く太輔
突然の告白に、二人を想い泣き出す健永
真っ直ぐな視線を太輔に向けたままのたま
そんな皆を心配そうに見つめる宮田…
俺達は動く事が出来ないまま、時間だけが過ぎていった
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作者名：MISA
| 作成日時：2018年5月31日 16時
