糸師くんが笑った日。 ページ6
糸師くんの笑った顔を一度でいいから見てみたい。
けどあの子は何をやっても笑わない。
サッカー関連だと何か笑うのかな……?上手く喜ばせれたら、笑ってくれるかも。
Aはその日から糸師冴のサッカーをこれでもかというくらい観察した。
お小遣いを貯めて、頑張って手に入れたモノを持って、学校に向かう。
放課後、日直の仕事で糸師くんと二人きりの教室。
今がチャンスだと思う。
「ねね、糸師くん。」
「何だ。もう俺は練習に行く。話ならサッサと終わらせろ。」
「そう言わずに。はい!コレあげる!」
「あ?」
Aが箱を出し、それを冴に向ける。
「開けてみて!」
「……」
冴が箱を開けるとそこにはスパイクが入っていた。
「凄いでしょ!」
その中に入っているスパイクは、中学生が買うには高すぎるモノで、限定物であるため入手困難であることで最近話題になっていた。
「……何処で手に入れた。」
「ヒミツ!」
「俺相手に隠し事とは度胸がある奴だ。そこは褒めてやる。」
「いひゃい。つままらいれ(つままないで)。」
そしてそのスパイクは、冴が購入予定として目をつけていたものであった。
「そのスパイクね、糸師くんのサッカーを観てて一番スタイルに合ってると思ったやつを選んだの。色とかも糸師くんが使ってるやつに似たやつを選んだよ。サイズは……ごめん、目算だから合ってるかわかんない。けど、難なく出来るとは思うよ。あっ!言っとくけど返品不可だからねー!これ手に入れるのに小遣い稼ぎ頑張ったんだから!それに買えるか不安で寝れなかった日だってあったんだから!」
「……フッ、」
その時、心臓が止まるかと思った。
あの糸師君が……笑ってる……凄い微かにだけど、絶対。
そのカオは思っているよりもずっとずっと可愛くって。
「今笑った!?」
「……笑ってねぇ。」
「いやいや絶対笑ったよ!君は笑うと案外可愛いねー。私の脳内フォルダに永久保存だ!」
「やめろ。今すぐ消せ。」
「怖いってー!」
めっちゃ睨まれた。糸師くんの顔がちょー怖い。
「ほら、残りの作業は私がやっとくから糸師くんは練習行っておいでよ。そのスパイク、長く使えると思うから、大事に使ってね。」
Aはグイグイと冴の背中を押し、教室から追い出した。
教室の扉を閉めると、Aはペタンと地面に座り込んだ。
「……あー、ヤバい……」
あの顔は反則でしょ。
笑顔があんなに可愛いなんて、聞いてないし。
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桜花(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます♡この作品もお気に入りなので続きをお楽しみに! (2023年2月3日 19時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 冴が本当に好きなので、嬉しかったです\(//∇//)\続きが楽しみです! (2023年2月3日 16時) (レス) @page16 id: 94c427d0c3 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - らむねさん» コメントありがとうございます!こちらの作品も無理せず自分の納得が行くように頑張ります! (2023年1月1日 20時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
らむね - 凛君の作品の方から来ました!!糸師兄弟結構好きなので嬉しいです!無理せずに自分のペースでいいので頑張ってください!! (2023年1月1日 14時) (レス) id: 41465224bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年12月31日 21時