第4話 ページ5
「Aちゃん、ここ先生に聞きに行こうよ。」
「あ、ヒナちゃん。ここならこうして、これで解けるよ。ほら!」
「Aちゃんすごい!やっぱ兄妹揃って頭いいね!」
ヒナちゃんが笑顔を向けてくれた。
チラリと兄がこちらを見た気がした。
「お兄ちゃんは特別だから、私なんかじゃ追いつけないよ。」
「そんなことないよ!ありがとう!」
「ヒナちゃん……」
「Aちゃん!今日一緒に帰ろっ!」
「え、いいの?」
「もちろん!直人も一緒でいい?」
ヒナちゃんの後ろにちょこんと隠れる直人くん。
「ど、どうも……」
直人くんは顔を真っ赤にしながらぺこっ、と頭を下げた。
「じゃあ一緒に帰ろっか。」
「うん!」
少し教室で3人で話していた時、Aは気付いた。
……他の子たちはもう帰ってるのにお兄ちゃんまだ残ってる。
その姿はなんだか、勉強しながら自分たちの会話を盗み聞きしているようで、なんだか嫌な感じがした。
「ヒナちゃん、直人君、行こ。」
「うん!そうだね!」
Aはヒナの背中を押して教室から出るように促した。
ヒナちゃんは相変わらず可愛いなぁ。直人くんもヒナちゃんに似て綺麗な顔立ち。
「Aちゃんもヒナと同じ中学だよね!」
「うん、そうだよ。」
「中学生になるの、楽しみだね。」
「そうだね、中学生になったら部活もあるからね。やりたいこといっぱいやりたいな。……そういえばさ、ヒナちゃん。」
「何?」
「なんか最近いいことあった?」
「え!?何で分かるの!?」
「何となくだけど、楽しそうだったから。」
「!!な、直人!先に家帰ってて!」
「え、うん。Aさん、さよなら。」
「うん、またね。」
***
「実はヒナね、好きな男の子ができたの。」
「え、そうだったの!?」
「うん……ヒナがピンチだった時に、マントをつけたヒーローがかけつけてくれたんだ。」
ヒーロー……?
「負けるって分かっててもその男の子はヒナを助けてくれたんだよ。だから、ヒナはまたあの男の子に会いたいな。」
マントをつけたヒーロー……
私を助けてくれたとき、君もつけてたね。
ヒナちゃんが恋をしたのはきっと武道くんのことだ。
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年10月20日 21時
