第五十話 ページ4
「おいおいマジか。」
「キモ…」
急に泣き始めた彼に灰谷兄弟は言葉を失った。
「ごめん兄ちゃん、約束やぶっちゃった」
「足折ったのになんで歩けんだよ?」
その光景は異様だった。
「オイオイ、無理すんなって。右腕、左脚折れてんだからよぉ」
「アングリー、もういいやめとけ」
八戒の声も、今の彼には聞こえていない。
「しょうがねぇな、もう一本ぐらい折っといてやるか。」
「竜胆、不用意に近づくな」
「大丈夫だよ兄貴、こんな奴よぉ…」
ホラ余裕、オレのタックルを見切れるハズがねぇ…!
俺はコイツにタックルを決めた筈だった。
「動かねぇ…!?」
「最後に泣いたのは小4の時。気がついたらみんな倒れてた。そして兄ちゃんが言った、もう二度と泣くんじゃねぇぞ、次泣いたら……」
「竜胆!一旦離れろ!」
「……人殺しになっちまう。」
「竜胆!」
竜胆は彼にやられてしまった。
蘭は彼を見失った。
すると後ろから……
「遅せぇな、三つ編み。」
そして蘭も竜胆と同じように彼に負けた。
「灰谷兄弟が瞬殺されたあああ!!!!」
「……」
ジリッ……と倒れている竜胆に近付いた
涙で濡れた瞳が、青く揺れる。
「……あの子を泣かすような事したら許さねぇから。もしまたあの子から笑顔を奪うようなマネしたら…Aは俺が貰う。」
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年10月16日 19時