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第四十八話 ページ2

「……?」

誰かいる……?

竜ちゃん……?

ぼんやりとしか見えない……でもきっとそう。

そっと頬を包まれて、私の唇に竜ちゃんの唇が重ねられた。

「好きだ。」

……?竜ちゃん……?

「……この渡せなかったプレゼント。お前にあげようってずっと思ってた。けど……俺には勇気がなかった。渡すだけなら、罪じゃねぇよな。」

竜ちゃん……好きって、どういうこと……?


それは妹としてじゃないの……?私は夢でも見ているの……?
なんで私にキスしたの?妹だよ、私は……

ならどうして彼女を作ったの……?

「早く元気になれよ、A……。行ってくる。」

どこに行くの……?

結局ふたりは教えてくれなかった。

また二人でどこかへ行っちゃうの……?

ふたりは足が速いから、私を置いてどんどん遠くに行っちゃう。

ここで二人を追いかけなかったらどこか遠くへ行っちゃうんでしょ……?

竜ちゃんを追いかけようと、ベッドから降りようとしてコケた。熱、まだ下がらないや……

竜ちゃんが私に渡したかったもの……指輪……

大事にするよ、私。これが本当にあの意味で渡したものなのか、確かめたい……!

ガチャッ、とドアが開いて……

「竜ちゃん……!」

「A!?安静にしてなよ!灰谷兄弟ならもう外だって!熱出てるんでしょ…!?」

「七海ちゃん……?どうして……?」

「それは後!ほら!ベッドに戻った戻った!」

……もしかして、蘭ちゃん…?

「私が今日は泊まって面倒見るから。」

「ありがと……」

「いいの。細かいことは気にすんな。」

「うん……ねぇ、七海ちゃん……」

「ん?なに?」

「蘭ちゃんと七海ちゃんは、どんな関係だったの……?」

「……元カノ、元カレ。それだけ。」

「幸せだった?」

「楽しくないこともいっぱいあったけど。幸せだったよ。」

「……蘭ちゃんのこと、どう思ってた……?ちゃんと、愛せた…?」

「……愛してたよ。ずっとね。」

七海ちゃん……

「あんたも、竜胆と幸せになりな。」

「お兄ちゃんだよ?竜ちゃん。」

「幸せになるのに兄妹とか関係ないでしょ。」

私は知ってるよ。蘭が言ってた。

Aは蘭と竜胆と本当の兄妹じゃないんだって。

七海は今までの蘭の恋人の中で彼と最も長続きし、一番信頼されていた。

だから蘭はAとの本当の関係を彼女にだけ明かしていた。

女に虐められることが多く、精神的にも人間関係にも難を抱えるAを頼むと、彼女に託していた。

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作者名:桜花 | 作成日時:2022年10月16日 19時

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