第32話 ページ33
あの子の気持ちが、彼女の手から伝わってきたんだ。
彼女のぬくもりが教えてくれた。
きっと俺たち今同じこと考えてる。
“会えなくったって君が生きてくれていればそれでいい。”
屋上の階段を降りていると、少し下で壁に背を預けているイヌピーに会った。
「…ココ！…今まで、俺のこともAのことも…ありがとな。」
「…こっちこそだ。…Aのこと、これから頼む。」
「任せろ。」
俺は今日、天使に別れを告げて、親友と決別した。
俺が赤音さんの眠る場所へ行くと、そこにはこの前Aが花屋で買っていた白い薔薇の花束が飾られていた。
…君はなんでこんな優しいんだよ…。
*****
「…大丈夫か。」
「…うん。…ふたりの時間作ってくれてありがと。」
「それくらい全然構わねぇよ。」
まだぐずってる妹をぎこちない手付きで撫でる。
「…兄ちゃん。」
「なんだ。」
「ん。」
「？」
「仲直り。ちゃんとしてなかったから。」
「…！ああ、そうだな。」
「…おかえり、兄ちゃん。」
「…ただいま。」
俺とAは、最近やっと元の関係に戻ってきた。
姉を失ってから、少年院に行ってしまった兄。一人ぼっちだった妹。
こんな俺を、Aはずっと待っててくれたんだな。
兄ちゃんにおぶられながら階段を降りていると、おばあちゃんに会った。
「おばあちゃん、私がんばったよ…。一君に、気持ちを伝えられたよ。」
「A…よく頑張ったのね…。」
祖母の優しい手つきに、Aの細められた瞳から、また一筋の涙がこぼれた。
*****
「…今日がいよいよか…」
正直、すごく怖い。死にたくない。けど、受けなければ、何も変わらない。
「Aちゃん、もう時間ですよ。」
「はーい。」
Aは首に下げていた鍵を机の上に置いて、病室を離れた。
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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました！！ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました！ (2022年8月1日 5時) (
レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ！ (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ！！こういう雰囲気いいですよね！！！ (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜花 | 作成日時：2022年5月28日 19時
