第15話 ページ16
「…イヌピー、今日出所だな。」
「…うん。」
「…?嬉しくならないのか?」
「…会うの、ちょっとこわい。兄ちゃんが、なんか怖い。」
「…そうか。」
イヌピーとAちゃんは久しぶりの再会を果たした。
「…兄ちゃん、久しぶり…」
「…ああ。」
「…手紙、読んでくれた…?」
「…別に暇じゃねんだから一々送り付けてくんな。」
「…ごめんなさい…。あっ、ココ君、わたしこれからレッスンだから、もう行くね。バイバイ。」
「あっ、おい…」
彼女は振り返らずにパタパタと走っていってしまった。
きっと辛いに決まってる。
やっとの思いで会えた兄に言われた言葉があんな言葉だなんて。
「イヌピー、今のは流石に言い過ぎだ。Aちゃんはお前のこと、ずっと待ってた。」
「…」
「…ちょっとは気にかけてやれよ。」
そこから俺は、イヌピーの願いである黒龍の再建に力を貸した。
それからは時間がなくて、あの子に会いに行く時間はどんどん減っていった。
勉強が忙しいとか、それなりの理由をつけては彼女を騙し続けた。日に日に胸の中の穴が深くなっていく気がした。
*****
ある日の図書館、俺は乾青宗にキスをした。
赤音さんと重ねた。
どうしてもあの子には触れられなかったのに、どうして俺はイヌピーにはこんな真似をできたんだろうな。
…もう、分かんねぇや。
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桜花(プロフ) - 月華さん» 読んでいただき本当にありがとうございました!!ココ君の気持ちからしても主人公からしても辛いお話でした。切ないお話は初でしたので沢山考えて頑張りました! (2022年8月1日 5時) (レス) id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 桜花さん» 切なくてそれでも温かいお話でした。夢主ちゃんと結ばれて欲しいような気もしましたがそれではココくんはずっと赤音さんを切れないんだろうなと。素敵なお話しありがとうございました。 (2022年8月1日 2時) (レス) @page39 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 雪海さん» この物語もいよいよ終盤に向かってきてますね…最後までお付き合い下さいませ! (2022年6月26日 11時) (レス) @page27 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
雪海(プロフ) - うう…切ない (2022年6月26日 10時) (レス) @page27 id: ea036f2a24 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 引きこもり隊さん» プレゼントの渡し方はこれがロマンチックかなって思ってましたっ!!こういう雰囲気いいですよね!!! (2022年6月22日 21時) (レス) @page22 id: e0b4a0dc7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年5月28日 19時