君のとなり

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#北山くんside





朝起きて、ケータイを確認してAからの メッセージが来ててホッとした。




昨日何回もメッセージを送ったけど既読になることはなく、電話をかけてみたけどAに繋がることはなかった。




どうしても気になってAの弟のるいに連絡したら、無事に帰ってきているそうで。




それにホッと安心して、一気に眠くなったの覚えてる。








俺ね、本当に









本当にAと花火見たかったんだよ









だけど、








道に迷って、ケータイの充電もなくなって、細くて暗い道を1人で歩いていたはるちゃんに、あんな顔で“花火見ていこう”なんて言われちゃったら、どうしても断れなかったんだ。






探しに行く前のAの


不安そうに揺れる目を


泣きそうな顔を


花火を見ながら何度も思い出したんだ。







“北山くん、気づかなくてごめんね”




“北山くんおはよう”






北山くんなんて呼んでほしくない





そして、よりによってはるちゃんが俺を宏光くんて呼ぶようになった。




祭りの日、急に俺を見上げて“宏光くんて呼んでいい？”って聞いてきて、一回は断ったものの、“Aはそう呼んでるのに…？”なんて、またうるうるとした目で俺を見てくるから、思わずうなずいてしまった。




今になって後悔が押しよせてきて、




頭をガシガシッとかいて、ポンっとベットを叩いた。





北山くんなんて呼ぶなよ





なんて言えたらどんなに楽だろう。




臆病な俺には言えない。

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