38 ページ39
｢絵は、技術の善し悪しで価値が決定するほど薄っぺらなものじゃありません。
大切なのは、作者が作品に注ぐ想いと、情熱なんです。｣
｢想いと、情熱…。｣
｢はい。
この絵からは、Aの想いが伝わってきます。｣
僕への、貴方の愛。
あの時燃やしたスケッチには、なかったものだ。
｢この絵、僕に譲っていただけませんか。｣
Aは少し考える素振りを見せた。
この前のスケッチは何の頓着も見せず、あっさり譲ってくれたのに。
それほどAにとっても、これは大切な絵なのだろう。
それが分かっただけで十分だった。
｢やっぱり大丈夫です。
不躾な申し出をしてしまって、申し訳ありません。｣
｢え、いいんですか？｣
｢はい。｣
Aの元にあった方が安全ですしね。
___部屋から帰ろうとした時だった。
Aが思い切ったように声をかけた。
｢あの、ジェイドさん。｣
｢はい、何でしょう。｣
Aが、黒く濡れたような瞳で僕を見た。
｢お願いがあるんです。
私、人魚になった貴方に触れたいんです。｣
｢触れたい、ですか？｣
この申し出に、僕はかなり面食らった。
確かにAとは、かなり恋人同士の段階を飛ばしてキスもした。
…しかしいくら何でも、触れたい、というのは時期尚早のような気がした。
僕が敏感すぎるのだろうか？
いや、でもAも
これが急ぎすぎていることは、本人も重々承知のはずだ。
だから僕が部屋を出ようとした時にようやく、迷いを断ち切って声をかけたのだと思う。
Aは明らかに焦っている。
しかし、何に？
｢あの…触れたいっていうのはそういういやらしいことを考えているわけではないんです。｣
｢おや、違うんですか？
恋人同士のスキンシップではなく、単に僕に触れたいんですか？
それは寂しいですね。｣
｢ち、違います。
下心が完全にないかといったらそれは嘘になります、はい。
いやでも、ジェイドさんのあの程よく引き締まった上半身を見て触りたくならない女性は中々いないと思うんです。｣
｢Aが僕に触れるのなら、当然僕もAに触れてもいいということですよね？｣
それは想定外だったのだろう。
Aは見るからに狼狽えている。
｢いや、あの、それは…。｣
｢本来のAの身体を、僕は好きにしてもいいってことですよね？｣
｢そこまでは私も要求してませよ！？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 803人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ランカスター(プロフ) - レオンさん» コメントありがとうございます！！お気に召していただけたようで何よりでございます♪ ジェイドのみ副寮長、ご指摘の通りですね！見直してみて気づきました…。ガバガバで申し訳ないです 笑 コメント下さり本当にありがとうございます！ (2021年1月4日 10時) (
レス) id: d91d53123f (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - すごく内容好きです....!!!!!ｳｯ...！！オクタの副寮長はジェイドのみだと思います...！ (2021年1月3日 8時) (レス) id: 8a19b2b241 (このIDを非表示/違反報告)
ランカスター(プロフ) - mitoさん» コメントありがとうございます！！ジェイド最推しの方にお褒めいただいて嬉しいです♪書いてて自信が持てますし、とっても励みなります！どうぞ、最後までお付き合い下さいね！ (2021年1月2日 22時) (レス) id: d91d53123f (このIDを非表示/違反報告)
mito(プロフ) - 更新頑張ってください！ (2021年1月2日 21時) (レス) id: ebda06392e (このIDを非表示/違反報告)
mito(プロフ) - ジェイド先輩が最推しなので最高です！大好きです！愛してます！！更新あ (2021年1月2日 21時) (レス) id: ebda06392e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ランカスター | 作成日時：2020年12月16日 15時
