・こまんだー ページ9
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Yabu side
それは、大ちゃんがコマがいないことに気が付く少し前のこと。
夜、みんなが各々部屋へ行った頃、少しやることがあったので一階へ降りれば、ソファでコマが眠っていた。どこかへ出掛けていたのか、ローブをまだ着たままだった。帰ってきたのは少し前かもしれない。
ーーーコマは、魘されていた。
目からは涙が一筋流れ、体は小刻みに震えていた。その様子を見ていられず、思わず声を掛けた。
「こま……コマ、起きて」
軽く体を揺すれば、彼は虚に目を開けた。
しかし、その目は俺を捉えてはいなかった。
「っや、ぶく……?どこ……?」
「ん?目の前にいるよ?どうしたの」
「い、な……まっくら、で、何も見えない……っ、はぁっ」
その意味が理解できなかった。次第に荒い呼吸をし始め、過呼吸を起こしてしまった。言葉の意味を考えながらもゆっくりと体を起こさせ、俺の肩にコマの額を乗せて背中をさする。
「はぁっ、はぁ…っ!!」
「コマッ?ゆっくり息しようか。俺はここにいるよ。大丈夫だ。ほら、吸って、吐いて……そうそう上手」
「はっ、はぁっ……はぁ…」
体が熱い。熱がありそうだ。体温計を取りたいのだがそれは離れた棚の中。この状態のコマから離れるわけにはいかずどうすれば、と。
「薮?コマンダー帰ってきたのか。ってどうした?」
光が丁度階段から降りてきたところだった。降りてきた理由はわからないが、俺は体温計の場所を指さした。
「ナイスタイミングだ光。ちょっとそこの棚の体温計取ってくれるか?」
「うん?コマンダー熱あんの?」
「わからない。ただ計っておこうと思って。……さっき過呼吸を起こしたんだ」
「過呼吸?なんで」
「さぁ。ーー目を覚ました時、こいつ俺が見えないって言ったんだ。目の前にいるしコマ、目開けてるのに」
「見えない……。あとでいのちゃんに診てもらったほうがいいかも」
「あぁ。…ん、サンキュ。コマ?少し熱計ろうか。…ああほらゆっくり息して。体温計入れるよー」
コマのこんなに弱った姿を見たことがなかったから、内心とても焦っていた。どうすればいいのかもわからない中でどうにか平静を装って、彼の体温を測り、落ち着かせて眠らせた。
「薮ちゃん、コマンダーがいないんだけど……」
そして、大ちゃんがやって来たのである。
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wanwan747272921(プロフ) - いつもありがとうございます。大好きです。私は山田メインの魔法系みたいです。魔法力が強すぎて体がついていけないみたいな設定あったらグッときます! (2020年2月3日 23時) (レス) id: 96d41df344 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁月 空 | 作成日時:2016年9月10日 16時