ねぇ、心中しよっか？ (ページ8)

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目がシパシパする。目尻辺りが少しだけ痒い。
手鏡を見ると少しだけ腫れている。冷やせば治るか…

家に帰ると8時はまわっていた。
当然兄は帰宅しているだろうから、

ガチャ

「ただいま」

「おかえり～A、遅かったね。」

「うん、ごめんなさい。」

兄さんはニコニコしながら私をぎゅうっと抱きしめて髪の毛をふわふわと撫で始めた。寂しかったと言いながら私の首に頭を埋めた。

汗臭いからやめて欲しい。

「ねぇ」

「なに。」

「Aと違う匂いがする…………」

ゾっと寒気が走った。一気に身体が硬直して、歯をガチりと食いしばったので奥歯が少し痛い。

あの時か。イヌピーの匂いが少し移ってしまったのだろう。

普段は兄に渡された香水を付けていると機嫌が良くなるし、あまり怖い顔もしない。

「本当に…………図書館に行ってたの？」

「うん」

怖い時の兄だと直感的に思った。

「なら、なんで他人の匂いがつくわけ？」

「………子供に読み聞かせした時……とかかも。」

そう言うといつものように優しい目で微笑んでAは優しいね。と頭を人撫でした。暖かいはずの手の温もりが、何故か心地よく感じない。

感情の落差がある兄に若干恐怖を抱いた。

でも、失敗しなかったら兄は怒らないし、"良い人"に戻るから。私は兄を1番に兄を誰よりも思って、彼の愛を受け止めてあげなければ、受け入れないと

きっと、"普通"のお兄ちゃんになってくれるよね。