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「ねぇ、青宗くん、赤音さんに肩代わりされて愛されてる気分どう?」
「…………」
そう言うと黙り込んだイヌピー。素直になりなよね。
「誰も貴方を見てくれないね。」
「ねぇ……、青宗くん、コレで最後。青宗として愛されたかった?」
そう言うとバッと血相変えて私の方にやってきて胸ぐらを掴んできた。真上を向くとイヌピーの顔。金髪がカーテンみたいになっていて、窓から差してくる夕日がそれをもっとキラキラさせていた。なんて、
考えるのは呑気か。
「苦しい、重い。」
「生憎、俺は愛されていた。少なくとも赤音にな。」
黙って淡々と話すイヌピー。彼が思いをこんな風に伝えるとは思わなかったけど、分からないよりマシだ。
コレを所謂感情を表に出すってやつだ。
「ココは俺を赤音に見立ててるけど、いつかは俺を見てくれるはずだから……」
「"はず"?確信なんて持ってないんでしょ。」
イヌピーはピクリとして、私の腹部を跨いで胸ぐらを離してくれた。重いってば。
「1度本気になってココ君に話してみるといいわ。きっと"赤音さんなら"って言うから。」
「分かんねぇだろ。」
「ふふ、どうかな。」
ココ君不器用だから。感情の整理なんてつきっこないのよ。絶対に。
「ココが俺を見てくれなくても、赤音が俺を愛してくれた事実は無くならねぇよ。」
「オマエと違ってな。」
「は」
「誰も真っ正面から愛してくれる人なんて居ねぇだろオマエ。愛された事も無いのにな」
パシッ
2人だけいる空間に叩く音が響いた。あ、私イヌピーの事叩いた。無意識なのかカッとして手を挙げたのか。
「俺、オマエの事嫌いだ」
「しってる。」
じっと怒りを込めて睨んでやった。
重いからどきなよと、イヌピーの肩をグッと押すと後ろによろめいて壁に頭を軽くぶつけていた。こんな事するからバチが当たったんだ。
逃げる様に帰った。
"『愛された事もないのにな』"
私の耳にこびり付いて離れない。気色悪い。頭で何度もリピートされる。最悪。
ボロボロと目から涙が零れ落ちた。
図星だから。
「うっ、……ひぐ……、」
ココ君を愛してしまっても、ココ君は一生私を見る事は無いのを知っているのに。どれだけ愛を注いでもココ君は私を見てくれないのに。赤音さんに嫉妬した事も何度もある。でも、仕方のない事だから。
あぁやってやっぱり言われるとキツイな。
イヌピーのバカ。私もあんたの事なんて大っ嫌い。
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作者名:麦の丸。 | 作成日時:2021年8月25日 23時