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夜の夢こそまこと/1 ページ35

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「 …………森さん 」

「 …その呼び方。思い出すねえ、いろいろ 」

「 だめ、喋んなくていいから 」


体の中で臓器がガクガクと震えている。悪寒が止まらない。まるで蘭堂さんがいつも云っていたみたいに、寒い、寒い。首領はその言葉にゆっくりと瞼を閉じて、意識を手放したようである。


「 中也は、みんなは探偵社と闘う気だよ、首領。どうしよう 」


どうしようもこうしようも、もう遅いのだけれど。敵の思う壷だとしても、闘う以外に無いのだろうな。


「 頼りない森さんに云っても仕方無いかあ。うん、きっとどうにかしてみせるよ。でもね 」


背後からふたり分の足音がして、背中に温もりを感じた。重い首を上げることすら出来ないけれど、きっと中也と姐さんだろう。体に力が入らない。


「 ……森さんが死んでしまったらって思うと、こわい。信じてるけど、だって、森さんは私たち(、、、)を掬いあげて育ててくれたでしょう。だからもし森さんが、 」


いなくなってしまったら。暴政を奮った先代の時代に逆戻りして、私達が愛するこの街は壊されてしまう。中也の掌が頭の上に移動して、何往復か撫でた。


「 A 」

「 相当、取り乱しておるのう。 」

「 確りしろ、テメェの作戦無しで、探偵社と闘えるか 」

「 駄目、探偵社と闘っちゃ、 」

「 じゃあどうしろって云うんだよ、A 」


私がするべきこと。作戦を立てることでも何でもなく、しなきゃいけないこと。古い記憶が蘇る。


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「 はい、終わり。今日の診察は以上 」

「 有難う 」


太宰が薬品の棚を弄り回している。あああの外套、懐かしいな。
森さんは私の顎から手を離して、紙に何かを書いている。ぐるりと椅子を回して太宰に駆け寄ると、何かの薬の瓶を渡された。


「 なに、これ 」

「 何って、鎮痛剤。たくさん飲んだらきっと死…… 」

「 ほうら君たち、そんなに棚を荒らさないでくれ給え 」

「 楽に死ねる薬をくれるなら、もう荒らす必要なんてないさ。ああ勿論Aの分も一緒にね 」

「 莫迦、私は死なない 」


そうなんだよね、死なないんだ__なんて云いながら、森さんが椅子ごと振り向いた。いきなり何を云いだしたのだろうか。


「 そう、君は死んでいない。あの路地裏のような環境で生き延びた。……君の異能力、自分でも解っているね? 」

「 “千羽鶴”と……“波千鳥” 」

「 ふふ、まるで…… 」

「 そう。A君。君は異能力をふたつ(、、、)持っている。……譲渡、なんて話、聞いた事あるかい? 」



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ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます!とても励みになります!これからもどうぞよろしくお願い致します! (2020年1月24日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります!更新頑張ってください! (2020年1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年1月19日 23時

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