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毒を以て毒を制す/4 ページ20

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重なった影がゆっくりと離れて、包んだと云うよりかは挟み込んだ彼女の頬、自分が無理矢理してしまったという事実に、心臓の拍動が大きくなる。

彼女は何と云うか、傷付いたような吃驚したような、それでいてこんな未来が来ることを知っていたかのような、そんな表情であった。惚けて開いた薄桃色の唇。嗚呼そう云えばあのぽんつくは、桃の花が好きだとか云っていた様な気がする。なんて、とてもどうでもいいこと。


「 …中也、酔ってる? 」

「 酔ってねえよ 」

「 酔ってるって云っておけば、良かったのに 」


離されない俺の手に、彼女の指がそっと触れた。傍らで放り込んだ指輪が、少し音を立てる。ゆっくりと掌を下ろすと、彼女は続ける。


「 そうすれば、これは間違いで済んだのに。一時の感情で女の子にこんなことしたら、駄目だよ、中也 」


そうして、少し笑った。それは許す様でもあり、同時に許しを乞う様にも見えた。その表情に、何も云えなくなってしまう。一時の感情なんかじゃあない、という小さな呟きは、彼女には届かないらしい。


「 無かったことにしよう、中也が後悔しない様に。そうしたら私も忘れ____ 」

「 無かったことになんて、出来るかよ 」


後悔なんてしてねえよ。テメェが本当に嫌なら、殴れ。そう乱暴に吐き捨てて、少し椅子を引く。焦ったような声色で俺の名前を呼ぶAに。

爽やかな色のカクテルの中で、指輪が変色し始めた。


「 な、何で。だって… 」

「 だっても糞も無え! 」

「 む、中也があんなことしたからっ、それが一時の感情だったなら後悔しないようにって! 」


「 惚れた女が泣いてたら、どんな男だって接吻のひとつやふたつ位したくなる、だろ 」


え、と空気に混じった素っ頓狂な声を上げた彼女の表情を、どうしても見たく無かったのだ。彼女の椅子に手を置き、片手で引き寄せる。胸の中で彼女は、少し苦しそうに、弱々しい力で殴った。


「 ……狡い、そんなの 」

「 狡くねえ 」

「 力つよい、中也 」

「 テメェが一番、解ってるだろうが 」


「 矢っ張り酔ってる、でしょ 」


中也。酔ってるって。矢っ張り酔ってるって、そう云うことにしておいてよ。

なんて、とん、と心臓の位置を拳で一度だけ叩いて。狡いのはどっちだよ。う、と掠れた声で、黒い猫っ毛は少しだけ動く。


「 中也はさ、太宰みたいに冗談云い慣れてないから、下手だよ。本当みたいに聞こえちゃう 」

「 ……青鯖の名前出すンじゃねえよ 」



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やっと恋愛要素入れられたけどこれからも変わらず伏線!意味深!で進むんで!!!

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ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます!とても励みになります!これからもどうぞよろしくお願い致します! (1月24日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります!更新頑張ってください! (1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年1月19日 23時

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