お茶漬けは嫌いだ/5 ページ7
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ガサガサと、ノイズの混じった音が聞こえる。
「 ぬぅっ、太宰さてはあのペンを使ってるな… 」
幸い、仕込んだ盗聴器には未だ気付いていないようだが。皿と箸がぶつかる音がして、断らなければよかったなんて思った。空腹で頭が回らない。
矢張り、話を聞いているとあの少年が“ 虎 ”であることは間違いない。
『 国木田くんは社に戻ってこの紙を社長に 』
「 …糞ッ 」
流石太宰と云ったところであろうか。大事なことは紙に書く、奴には全てお見通しなのかもしれない。まあそんなに上手くいくとは思っていなかったのだけど、こんなに疾くバレるとは。
仕方がない、今日は夜の任務もキャンセルだ。流石に首領に怒られそうだけど、エリスちゃんは既に私の味方である、先ず私を拾ったのが運の尽き。
「 …夜のお散歩かあ 」
___『 雑な仕事だね、流石Aといったところだ。そういうところが、昔から私は可愛いと云っているのだよ 』
「 …っ!? 」
こういう、歯の浮くようなことを平気で云える様な奴だったことを忘れていた。矢張り侮れない、心臓の内側が痛くなる。
「 だぁざぁいぃ! 」
耳につけていたものを地面に叩きつける。此れは高いらしいが、まぁ、私に持たせたことすら運の尽きである。ドンマイ首領。
___粉砕音は同時に鳴り響いた。
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「 手前…仕事すっぽかして何処行ってやがったこの 」
「 ヒッ 」
自動ドアが開くなり前から物凄い勢いで上司が迫ってきたら、誰だって逃げたくなったりするだろう。
某国民的アニメの様に怒った姉が弟を追いかけるだけならば未だマシだが、生憎怒った上司は私に何トンもある様な重い物を投げてくるのだ、恐ろしや!
「 嗚呼中也、私ちゃんと仕事してたよ今日はー! 」
「 五月蝿ぇ、手前の行動は把握済み何だよ 」
「 エッ、ストーカー? 」
「 … 」
呆れたのか“ 一応 ”上司は背を向けて去って行った。如何やら危機は去った様だ。今闘えば互角、否、少し上の彼奴に勝てる訳がない。長い付き合いになるが未だ中也に勝ったことはないのだから。まあ中也も当然私に勝ったことはない。
「 …首領のお部屋にでも行くかぁ 」
昇降機、上に行くと云うボタンを押せば直ぐに機械的な音が鳴り、扉が開いた。そう云えばもう夕方である、皆仕事をしているのだから余り混雑はしていない様だ。
またも機械的な音と共に扉が開き、其の階へと足を踏み入れた。此の扉を叩くのは何時になっても緊張する。
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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむい | 作者ホームページ:
作成日時:2018年3月27日 16時