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わたしより先に死ぬのなら逢わないで/4 ページ35





昔の夢を見ていた気がするのだが、大事なことは全部忘れてしまった。当然夢の内容も朝起きたら消えてしまう。


「 ん…… 」

「 手前ベッドで寝ろよ 」

「 うえへへへ中也、中也だあ 」

「 餓鬼… 」


待って痛い体がイッッッタイ!ソファで寝たから体がバキバキだ、もう19歳だもんなあ。ベッドの有難さが今更身に染みる。起きれない、と微かに呟くと中也が私の横に腰を下ろして、書類を振りかけてきた。


「 うおお………なにこれ、ギルド? 」

「 目を通しとけ、何れ戦う相手だ 」

「 ……ふむふむ、大切な存在がいそうな人ばっかりで戦いやすそう。ね、このスタインベック君とか… 」


ん?と書類にざっと目を通して気がつく。中也もそんな私の様子に気がついたのかソファの背凭れに手をついて私の持つ紙を覗き込んだ。


「 私このおじさま、知ってるよ 」

「 あァ? 」

「 ほう。フィッツジェラルドっていうのかあ…ふむふむなるほど、首領も教えてくれればいいのになぁ。彼方のボスだなんて知らなかった 」


一通り納得し終わると、中也が私からフィッツジェラルドさんの紙を取り上げて目を通し始める。彼もまだ寝起きらしい、橙色の寝癖を撫で付ける。


「 それで手前はこの男とどんな関係なんだ? 」


鏡を見て犬の首輪のようなチョーカーを整える。黒い猫っ毛はぴょんぴょんとところどころ跳ねた。


「 別に。私が前路上で絵を描いてたら貰ってくれたおじさま。ヨコハマの摺鉢では珍しいお金持ちっぽい人だから覚えてただけ 」

「 手前、また摺鉢街に行ってたのか 」

「 まァね。色々と調べたいこともあったし、あとは子供たちと遊んだりしてたけど 」


マフィアに入りたての頃とか思い出して懐かしかったな。“首領直々の命令”じゃなくても、あの日は摺鉢街に行っていただろう。


「 あぁ、興味深い言葉がひとつ。『君は彼女を知っていたのか?……まぁいい、愛とは金で買えないものだ。ひとつ、君の絵を頂きたいのだが』 」

「 おい、異能力を… 」

「 うん、使ったよ。一寸だけね。…まあ、首領の命令だから仕方がなかったかなあ。 」


中也が私の首に触れた。


「 手前、何か俺に 」

「 うん。隠してる。中也に隠し事いっぱいしてるよ 」


チョーカーを通して、その熱が伝わる。


「 ……例えば? 」

「 “この異能は私にぴったり”ってこととか、ね 」


嗚呼、嘘だ。中也の前だけでは、こんなこと言いたく無かった。



『 ねえA。君は、私よりも_____ 』



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ねむい(プロフ) - イチゴプリンさん» いつもありがとうございます、本当に励みになります、、!これからも何卒宜しくお願い申し上げます! (2018年4月2日 12時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
イチゴプリン(プロフ) - ねむいさんの作る作品はとっても面白くて大好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2018年4月1日 13時) (レス) id: 645f74247e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年3月27日 16時

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