【あんスタ】また明日ね、ニュクス【合作短編集】 (ページ2)

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カンタレラをのみほして/姫宮桃李ページ2

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____これが夢であってゆめでなければ、なんて。矛盾した、意味のなさないような前置きをした。脳裏に過ぎったのは、今の空とは真逆の真白なテーブルの上に置かれた、薄桃色のくまの縫い包み。目立つ、そして愛くるしい飴玉のようなミント色の瞳に吸い込まれてしまいそうで、それが何処か、悲しくて。これは彼の所為だ、何て。責任転嫁。そんな思いを隠すように、わたしですらも忘れてしまうような、そんな場所に大切に仕舞い込んだ、だとか。

彼の為だけに歌えていたら、どれだけ幸福だったのだろう、彼の為だけの金糸雀でいられたのなら、何て。今更過ぎて、もうどうしようもないことを願う。ぎゅう、と握りしめた手の中にあったミント色のビーズが、どうしても忘れられなかった。唯、それを見ていると胸が痛むけれど、それに気が付かないふりをして逃げていた、だとか。

その理由と、いつのことだったかまでは、覚えていない、けれど。

そんな話を、決して頭の出来が悪い訳ではない彼が気が付かないように、適度に暈して話す。

「 ……で、何で、そんな話をボクにするのかなあ？」

じとり、とした目線と、甘やかな鈴のような声だった。案の定、わけがわからない、と言いだけに首を振られたから、ひとつだけ、小さな笑みをこぼす。
彼の言葉に含まれた少しの毒が、じわりじわりと蝕んでいくような感覚。それはまるでカンタレラのような、甘美な毒だった。もっとも、彼にそんなつもりはないのだろうけれど。

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