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「 凛月 」
「 なに？ 」
「 名前で呼んでくれないの？ 」
私にも“ あんた ”じゃない名前があるんだよと微かに笑った顔に心臓の裏側に触れられたみたいに、痛くなって体が跳ねる。馬鹿みたいな恋が少しだけ動いたって、自惚れたくて、思わず口を開いた。
「 なぁに、俺のこと好きになっちゃった？ 」
「 まさかあるわけないでしょ 」
_____これは付き合うとか、そんなことじゃなくて、ほぼ“ 契約 ”だよ。
その二文字は、痛くてたまらないのに何故か胃の中にすとんと落ちて嵌った。欠けていたパズルのピースが部屋の隅から出てきたみたいに、気持ちわるいくらい、ぴったりだった。
やっぱりなにもかもうまくはいかなくて、なんてねと笑った彼女の笑顔の裏の感情なんて読み取ることができるわけなくて、ほんとはなにを思ってるのとか、誰のこと考えてるのとか、そんなのも愚問にしか過ぎなかった。
だから、言おう。最初から最後まで、全部、きたなくてぐちゃぐちゃで最低で、悲しい恋にするために。
「 A 」
「 ……え 」
「 俺は、Aのことが好きだよ 」
「 嘘はやめてよ 」
「 嘘じゃないってば 」
間抜けな顔のまま固まる彼女に近寄って、靴に砂が入り込んで、全ての音が全部、掻き消される。いままで吹いていなかった風が強く強く吹き始めて、なにかのゴミが舞い上がって、そうして今まで平行に進んできた糸は、一瞬だけ曲がって絡まってひとつになった。心がついてきていなくても、この行為が残るのならそれは俺が彼女のことをちゃんと好きでいた証になるのだと思っていた俺は、随分と子供でいる期間が長過ぎてもう後に引けないほど、
もっと最低な恋に、足を踏み入れた。
もう、後戻りなんてできるはずない。
「 ………今、キス…… 」
「 なんてね、あんたのこと好きになるわけないでしょ 」
「 ……じゃあ、なんなの 」
「 付き合ってるならキスくらいするでしょ 」
「 …帰る 」
今度こそ、彼女の背中を追えなくなった。
最低だ、ほんとに。最低な日で、最高な日で、そう思ってしまう自分が許せないのに、嫌がらせかのように柔らかさを忘れられない。
海にでも、行こうか。それで、夜まで海にいよう。帰れなくなったら、幼馴染に連絡しよう。そうすれば、きっと迎えにきてくれて、俺を必要としてくれる人がいるんだって感じられると思う。
ただ今は、まあるい地球を回って彼女が“ 最低 ”な俺を迎えにきてくれるのを待つしかないのかもしれない。
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フラッペ - ねむいさん» りっちゃんはいいですよね（＾＾）独特な雰囲気というか無気力で可愛らしいというか……でもライブではきちんとする所、好きです。更新の方は細かく繊細に書かれているのがねむいさんの作品の良いところですので、自分の思うがままに書いていただければ幸いです……♪ (2018年8月22日 1時) (
レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - フラッペさん» ありがとうございます。フラッペさまからコメントをいただくたび、有難いという気持ちで胸がいっぱいになります。お気付きかとは思いますが、私も朔間凛月が一番の推しです。しかし推しほど書くのが難しい！精一杯尽くしていきたいと思いますのでよろしくお願いします！ (2018年8月20日 10時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ - 新作おめでとうございます（＾＾）推しのりっちゃんなのでとても嬉しいです……!!もう一話目で「好き」と口からポロりと出てしまいました。ホントにこの作品の続きがむちゃくちゃ気になります。ねむいさんの事応援してます♪ (2018年8月18日 21時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2018年8月15日 23時
