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「 ばぁか 」
「 …っ、う、えっ… 」
ばたばたと騒がしい雨は止みかたを忘れたかのように降りかかってくる。髪が肌に張り付いて気持ち悪くて、同時にいつも飄々としているこいつが感情を剥き出しにしているのもなんだか気持ち悪くて、それなのに引き寄せたのはどこかに少しだけ同情があったからかもしれない。とか考えたけれど、やっぱりこれは同情なんかじゃなくて、立派に名前をつけられるような気持ちなんだって理解したらすとんとお腹の中に落ちてきたのでぼやけるように聞こえていた雨の音がはっきり聞こえるようになった。
「 俺さ、何の仕事してるのって聞いた時にあんた口籠ったからなんか悩んでるのかなあって思ったの 」
「 っう、 」
「 でもさ、……ううん、やっぱりなんでもない 」
車で走るとか、自転車とか、それよりも一度歩いた道の方が覚えているものだ。自分の足で歩んだという証が残っているから。足跡は雨で消えてしまったかもしれないけれど、何ヶ月前かの自分に言ってやるのなら、“ もっとちゃんとこいつを見ときなよ ”ってことかなあ。手を引いて、後ろをついてくる彼女は鼻をすすりながら、泣き声を抑えて咽び泣いていた。だからただ、何も言わずに俺も歩いた。
馬鹿みたいに好きだったんだ、あの頃、こいつのことが。もう遅いかもしれないけれど、やっと思い出した。気持ち悪いとか言ったけれど、気持ち悪いのは思い出せない俺の方だった。もうこれきりにしようと、結び切りにした恋はまだずるずると続いてしまっている。ずっと雨が降っていたように感じるあの時間も、晴れ間にはいつもこいつがいたのだ。そうだ、こいつは、俺の上にあった雨雲を吹き飛ばしてくれた人だった。
だから、俺もこの雨が止んだら、もうあんたのところに雨が降らないようにしてあげる。どうしても止ませられない雨は街のどこもかしこも濡らしていったから。相談に乗ってあげられるとか、話を聞くとか、そんな上から目線じゃなくて、できるだけ同じ目線で話して、心は癒せなくても、完全に雨を止ませられなくても、悲しい思いはもうこれきりになるようにする。それで、全部終わらせられたら、俺はまたあんたのこと好きになれるよ。
もう、あの時間を繰り返したりしないから、さ。
雨でぐちゃぐちゃになった糸でもまだ、結んだり切ったりできるはずだ。だからさ、
「 帰ろう 」
ぶると後ろで身震いをした彼女は咽び泣きの、一瞬だけの晴れ間であの時みたいに不敵に笑って見せた。
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フラッペ - ねむいさん» りっちゃんはいいですよね（＾＾）独特な雰囲気というか無気力で可愛らしいというか……でもライブではきちんとする所、好きです。更新の方は細かく繊細に書かれているのがねむいさんの作品の良いところですので、自分の思うがままに書いていただければ幸いです……♪ (2018年8月22日 1時) (
レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - フラッペさん» ありがとうございます。フラッペさまからコメントをいただくたび、有難いという気持ちで胸がいっぱいになります。お気付きかとは思いますが、私も朔間凛月が一番の推しです。しかし推しほど書くのが難しい！精一杯尽くしていきたいと思いますのでよろしくお願いします！ (2018年8月20日 10時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ - 新作おめでとうございます（＾＾）推しのりっちゃんなのでとても嬉しいです……!!もう一話目で「好き」と口からポロりと出てしまいました。ホントにこの作品の続きがむちゃくちゃ気になります。ねむいさんの事応援してます♪ (2018年8月18日 21時) (レス) id: 0c5a8c4f79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2018年8月15日 23時
