【瀬名泉】君を忘れる約束【月永レオ】

対局 ページ9

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「 紅茶でいいよね？ 」





「 うん、ありがと 」





ふわりと香るダージリン 紅茶なんてあまり飲まないから少し緊張してしまう






テンシくんはカップに口をつけながら、暫く中庭を見回していた




少ししてカップを置くと、腕を組んで笑った






「 Aちゃんの話したいことから、どうぞ 」




少しの間 他の人に初めてこんなこと聞く






「 …っ、レオは何処 」





テンシくんは綺麗な目を見開いて、私の顔を覗き込んだ。どんな感情からかわからないが、少しテンシくんの表情が固まる






「 奇遇だね、僕も同じこと聞こうと思ってたんだ 」





…私がそんなこと知ってるわけない、この人はそう知っていて私に聞いたんだろうか。もしそうだったら、意地悪だ






「 …でも、あれから君は、月永くんに連絡したのかい？ 」






してない。






「 月永くんに会おうという努力は？ 」





してなかった。





「 今の今まで、私の中に罪悪感が残ってたから、レオに何もしてあげられなかった 」






それに気づけば上出来だ、という風にテンシくんは笑みを浮かべて、またカップに口を付けた






「 僕、入院中に月永くんとチェスしてたんだよね、彼とても上手くて 」





何も知らなかった、入院してたことでさえ





「 僕はどうにかして勝ちたくて、いつもチェスしてる時、Aちゃんの名前をだすんだ 」





全部レオの手品の所為にして






「 そうすると彼は手を止めてしまう。その隙に僕が、 」







いつだって記憶の片隅にはレオがいるのに、何もできなくて彼の所為にした







「 チェックメイト、って 」





またダージリンの香り 涙が溢れそうで







「 お願いだから、これ以上私に夢を見せないでよ 」






そんな言葉とは裏腹に、彼に会いたい






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