隣の赤葦くんがすごく話しかけてくる【赤葦京治】

じゅうななもちもち ページ19

『…何かあったのかな？』



「なんか、梟谷深刻っぽい…？」




「あー。木兎がまぁた何かやらかしたんだろ」






第2セット中盤、梟谷がタイムアウトを取り選手たちが円を作り話しているが、雰囲気は深刻そう。隣のおじさんは、「やれやれ。また木兎か」と言った様子でため息をついた。








『えっ、木兎さんよくこういう事あるんですか！？』




「良くも悪くも調子にムラがあるっつーか…、今日はクロス全然打ってねぇもんな…」



「クロス…？」




「コースの打ち分けのことだな。ストレートはそのまま、真っ直ぐ打つ打ち方で、クロスは相手コートの対角線側に打つ…要は、斜め打ちみたいなもんかな」




『なるほど…。ありがとうございます』





バレーについて、ポジションくらいしか知らない程のひよこ知識な私達に、おじさんは分かりやすく説明をしてくれる。







「木兎さんは、クロスが得意なんですか？」




「得意ってよりも、クロスよりも内側に打つ、超インナースパイクが見ものなんだ。アタックライン…ほら、あの線があるでしょ？」





「ネットの手前にある線ね」とおじさんは指を指しながら教えてくれた。






「あの内側にね、叩きつけるんだ」




『へぇ…』






なるほど。とは思ったけれど、それはそこまで凄いことだとは思えなかった。




見たところ、結構間あるし…出来ないものなのかな。




いや、実践になると結構難しいのかな…。






「「そんなに難しくなさそう」って思ったでしょ」




『アッ、は、はい』




「あははっ。知らないならそう思うよ。でも、見てればね、分かるよ」





「それこそ、赤葦が道を作ってくれるだろうから、すぐに見れると思う」と嬉しそうに言って、おじさんはにこやかに笑った。








間もなく、タイムアウト明けの試合がスタートした。

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