第20話 ページ24
夢を見た。
本データにいた頃の夢だ。
捨ててしまった黒いセーラー服も、人間の腕も、何処にしまったか分からない使っていた武器もある。
『ゔぇ…』
この夢…“私”が敵陣にいて気持ち悪くなった時のだ。
私は廊下にある水道で口をゆすいでいると、
「やあA」
そこには私の“プレイヤー”がいる。
私の所の“プレイヤー”は人間と言ってもいいのだろうか。
顔は白く丸く、真ん中には丸い穴が空いている。まるでドーナツのような。
服はジャージしか着ていないし性別も不明である。
胸や排泄器官も見えないのっぺりとした不思議な身体をしている。
“彼”…と呼ぼうか。彼は食べ、学び、寝る。
人間としての暮らしはしているし、行動は人間そのものだ。
「おやおやどうしたんだい？またアリーナで吐いたのかい？」
この穴から喋り、食べ、見、聞き、嗅ぎ、息をしている。血と汗も流す。しかし涙は見たことがない。
『そりゃ…“私”が敵チームにいるし…同じのが居すぎて気持ち悪くて吐くわ』
「あはは、君ぐらいだよ。自分と同じ個体を見て吐くなんて」
彼は穴の空いた下の部分を盛り上げ、笑っているかのようにする。
『当たり前じゃないか。
“私”はあんな性格じゃ無い。
“私”はあんな声を出さない。
“私”はあんな笑い方をしない。
“私”はあんな動きをしない。
“私”はあんな目をしていない。
私は私は私は私は私は私は私は私は私は私は』
私は腕をガリガリと掻く。
しかしその手は“プレイヤー”に止められる。
「ストップストップ。相変わらず変わっているねぇ君は…仕方ないか。だって君は僕のーーー」
ーーー
『嫌な夢を見た』
眼が覚め、目に見えたのは自分の部屋の天井とピンクの髪。
懐かしく、嫌で仕方ない夢だった。
身体を起こし、少しボーッとする。
ベッドの横にはメグメグが寝ていた。気を許すのが早いなコイツ。時計を見るとまだ夜中、朝になるまで数時間もある。
『…もう少し寝よう』
私は再び布団に戻る。
あの嫌な夢はもう見なかった。
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から傘(プロフ) - この作品すごく好みでした、次の話も期待しています!! (2020年3月14日 4時) (
レス) id: 3a0b2e4785 (このIDを非表示/違反報告)
青蛇(プロフ) - 旅人さん» ありがとうございます。自分的にも気に入っている世界観なのでコレからもお楽しみくださいませ (2019年2月6日 20時) (レス) id: c680f9d767 (このIDを非表示/違反報告)
青蛇(プロフ) - ペンギン太郎さん» ありがとうございます。唯一バグが無いキャラなので性格を少し濃いめ？にしました。アダムも出てくる予定はあるのでお楽しみ下さいませ (2019年2月6日 20時) (レス) id: c680f9d767 (このIDを非表示/違反報告)
旅人(プロフ) - とても楽しく拝見させていただいてます！あまり見ないストーリーと(元からではありますが)個性豊かで魅力的なキャラ達に心奪われました… 尊すぎる 無理のないよう、更新頑張ってください！ (2019年2月6日 20時) (レス) id: 42db0291b9 (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン太郎(プロフ) - ここのアダムが変態っぽくてすごく好き…応援してます！無理しない程度に頑張ってください！ (2019年2月6日 7時) (レス) id: a451b06430 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青蛇 | 作成日時：2018年11月8日 21時
