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佰肆拾伍 ページ17

少し経てば彼は申し訳なさそうな顔をしたまま視線を逸らして、何処か云い難そうに口を開いた。
……心做しか顔が紅くなっている気がするが、大丈夫なのだろうか?




「その、済まん。今云うべきか判らないが、乃公は勘違いしていた。……貴女(きじょ)は女性だったんだな」


『嗚呼、そうだが……まあ、初見で見抜いたのは太宰と首領だけだ。別に間違えられたからと云っても、私は何も気にしない。大丈夫だ』


「否、乃公が気にするのだが」


『それよりも腕を出してくれ。簡易的になるが手当する』


「あ、ああ。ありがとう」




ジイドが袖を捲り上げている間にコートの衣嚢に入れていたガーゼ等を取り出して準備する。
奇跡的に怪我をして血で汚れた方とは反対の衣嚢に入れていたので綺麗なままだった。
若し汚れてしまってたら使えなくなっていたので助かった。
だか本当に簡易的な応急処置しか出来ていないので、後で仁に頼むしかない。



手当を終えるとジイドが、手当された手とは反対の手を差し出して、じっと此方を見てきた。
私は彼の意図が判らず首を傾げると、彼は少しムッとした表情に変わった。




「貴女も怪我をしている。乃公が手当しよう」


『私は構わない』


「然し──」




彼の言葉を遮るように、彼の頬に出来た傷に絆創膏を貼って私は立ち上がった。




『ほら』




そして彼に手を差し伸べた。
彼は少し躊躇ったが、そろそろと怪我をしていない方の手で私の手を掴もうとしたその時、廊下へと続く樫の扉が勢いよく開いた。




「A!!!」




ジイドは勿論、急いで駆け付けて来てくれたであろう三人もぽかんと口を開けたまま固まった。
まあ敵の長であるジイドに手を差し伸べる私の姿を見れば固まってしまうのも無理はないだろう。


それに場違いなのは承知の上だが、太宰が珍しく大きな声を出したな、なんて呑気な事を思ってしまった。



ジイドに手を差し伸べるのを止め、苦笑しつつも、一向に動く気配が感じられない彼等の方を向いた。





『固まっているところ悪いが、話したい事があるんだ。此方に来て__、』







そこで、映像が見えてしまった。







「Aッッ!」





仁にもソレが見えたのか、酷く焦った表情で届く筈がないにも関わらず私に手を伸ばした。
そんな彼に私は__唯、諦めた様に笑った。









一つの銃声が、この洋館に響き渡った。

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黒龍(プロフ) - ハリネズミの毛玉さん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!皆様のお陰で完結する事が出来ました!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - ちょこれーとさん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!そう云って貰えると迚も嬉しい限りです!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミの毛玉(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: 9b2a72a438 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 完結お疲れ様でした。とても面白い作品でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - マーシャさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います!不定期にはなりますが更新頑張ります!! (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2020年1月23日 2時

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