弐 ページ6
『…………すまん』
「い、否、別にそんな物凄く申し訳なさそうな顔して謝らなくても善いんだよ!?アレだよね、急に知らない所に来たらいっぱい質問したくなっちゃうし思わず辛辣な事を考えちゃうアレだよね!ね!?うん!!大丈夫さっ!じゃあ一から説明していこう!」
神はころころと表情や態度が変わる。
何か友である一人の男を思い出す……最期に彼には申し訳ない事をしたな、なんて考えていると何処からか既に何かが書き込まれた
「先ず、この世には沢山の世界が存在しているんだ。で、僕達の様な神様はそれぞれ何個かずつ管理するの。だから此処は僕達の仕事場所?って云うのが相応しいかな」
『成程、神にも仕事場があるのか』
「ねぇ、君ちょっとズレてるとか言われた事無い?……ま、いっか。それで次は傷が塞がっている事についてだよね」
ズレている?何処が??
不思議に思い、首を傾げて神を見ると少し呆れた表情をして次の話に移った。
「僕が少し力を使って塞いだんだよ。だって君は本来あの場で死ぬ筈は無かったからね。君の元来の戦闘能力の高さから云えば彼の技量を上回る筈だよ。でも、死んだ……君は諦めてしまったんだよね?」
『何故、それを……』
一瞬息が詰まった。
神を見ると先程迄の巫山戯た雰囲気(?)は消えていて、その瞳の奥に怒りの色が見えた。そして己自身の口からちゃんと理由を云えとも云っている様にも見えた。
このまま黙りを決め込むのは得策では無い。
この空間から逃げる術を私は持ち合わせていないし、未だ判らない事が多過ぎるからだ。諦めた様に小さく溜息を吐いて、再び神の目を見る。
『そうだ、私は諦めた。あの人に“小説を書く事は、人間を書く事だ。お前にはその資格がある”と云われて私は殺しを二度としないと誓った。人の命を奪う者に、人の人生を書く事は出来ないと思ったからだ。任務でも人を殺したら、その資格がなくなると思った……でも、私の所為で子供達は死んだ。目の前に居たのに手を伸ばす事しか出来ず……結局助ける事が出来なかった』
目を閉じれば今でも鮮明に思い出す。
バスの窓から私に向かって必死に助けてと叫ぶ子供達の顔……そしてその後の変わり果てた姿。
『その時、私はその資格が無くなったと思った。あの人は慰めで云ってくれたのかもしれない、本当に書く資格があったのかもしれない……でも、それは過去の話だ』
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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時