参拾陸 ページ42
決着後、三人が粗方の事を話し終えたその時倉庫に拍手の音が鳴り響いた。
突然の事に太宰と中也はバッと振り向くと笑顔をはり付けたAが居た。
彼等の数歩後ろに音も無くいつの間にか立っていたのだ。
二人は思った。
之が若し敵だったら自分達の命は無かったと。
そして蘭堂と仲が善かったAは一体何方の味方なのかと。
だが驚いている二人にAはただ微笑するだけだった。
『御二人共お疲れ様です、初任務成功ですね』
発せられたのは予想もしていなかった労いの言葉だったので二人は目を見開いたまま固まった。
当の本人は、そんな二人を他所に蘭堂の隣に膝を落として顔を見ていた。
｢一体何時から……｣
『最初からですよ』
その言葉に更に全員が驚いた。
『最初から全て知っていました、そして彼等の任務を見届ける為にも最初からこの場に居ましたよ。蘭堂さん＿否、アルチュール・ランボオさん』
本名を呼ばれた蘭堂は少し目を見開いた後、優しく、そして何処か愛しい者を見る様な瞳でAを見た。
｢そう、か……ああ、その名で呼ばれるのは久しぶりだ。若し、違う未来があれ、ば……いや、止めておこう｣
最後の最後に蘭堂が力の余り入らない手を伸ばしてAに触れようとした。
Aもその意図に気付いたので、その手を両手で優しく包み込んだ。
｢有難う。君との日々は素敵なモノだった。又違う世界で会えたら、その時は……｣
そこで蘭堂は力尽きた。
数秒の間、蘭堂の手を頬に当て、目を閉じたままAは何も云わなかった。
壊れて扉が開いた場所から差し込む夕陽に照らされたその横顔を見ていた太宰と中也の二人はまるでAが涙を流しているように見えたと後日話していたらしい。
『お休みなさい』
ゆっくりと目を開き悲し気に微笑したAは開いたままの蘭堂の目を閉じてやり、立ち上がって二人の方を見た。
中也は目を逸らしていたが太宰は己の中に湧いた疑問を問おうとしているのか真剣な眼差しでAを見ていた。
｢蘭堂さんの異能発動時は外部から許可無く入れないと聞いたけれどもAは如何して入れたんだい？｣
『体質ですよ。私には異能は効かない、唯それだけの事です』
そして未だ何か云おうとした太宰の言葉に被せる様にAは口を開いた。
『それよりも怪我の手当てをする為に早く帰りましょう』
笑顔で告げたAに太宰はそれ以上何も聞く事は出来なかった。
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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……？() (2021年6月12日 19時) (
レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ？！ヴァサゴ？！POH？！ (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます！更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです！！更新頑張って下さい！！(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます！そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……！！ (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒龍 | 作成日時：2018年5月21日 1時
