序章 弐 ページ2
修治はAの目を見た。
Aの目には確信の光があった。
何か強力な根拠に支えられた言葉であることは明らかだった。
過去の経験か、誰かの助言か──かつて自分が通った道を、修治に示そうとしているのだ。修治にはそれが判った。
それで修治は信じる気になった。
「……判った。そうしよう」
『“人は自分を救済する為に生きている。死ぬ間際にそれが判るだろう”か……その通り……だったな……』
Aの表情から急激に血の気が失われつつあった。青白い顔でAは微笑した。
『咖喱が食べたいな……』
Aは震える指で、コートから煙草を取り出し、のろのろした動きで煙草を口に銜えた。
Aは目を閉じて、火のついた煙草を吸い込み、満足そうに微笑んだ。
────煙草が床に落ちた。
修治はAの隣に膝を落としたまま、冷たくなりつつあるAの身体を強く抱き締めてから顔を天井に向けて目を閉じた。
きつく閉じた唇が小さく震えた。
煙草の煙がまっすぐ立ち上っていた。
誰も何も云わなかった。
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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時