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正人が来て、乱太郎はすごく充実した時間を過ごせたようで嬉しそうだった。

その後、正人は一人学園内の絵を描きに回っていた。やはり人気者なので色んな後輩に話しかけられていたがその度に後輩達の絵を描いていた。

正人「A、そこ座ってくれないか?」

正人は椅子を用意して私に座るように促した。

『こう?』

正人「うん。」

『なんか懐かしいね。この感じ。』

正人「だね。乱太郎くんの絵を見たら私も、もっと沢山絵を描きたくなってしまった。」

『今も沢山絵を描いてるのに?』

正人「言われてみれば...」

『正人はさ、どうして絵を描いてるの?』

正人「絵を描くのが好きだから。」

『だよね〜』

正人「あと、思い出を留めておきたいから。記憶って時間経つと、どうしても薄れていずれ消えていくけど、絵として残しておけば思い出せるだろ?私にとって、忍術学園の思い出は大切で忘れたくないからさ。」

正人の筆が止まった。

正人「あと、時が流れるにつれ気づき始めたんだ...忍術学園での生活ってかけがえのないもので当たり前じゃないんだって。生きてることは、当たり前じゃないんだよね。今こうして私が絵を描いてる間にもどこかで人が死んでいるんだ...そう考えた時、その人が生きているうちにその人が居た証を残したいって思った。それに、私も忍である以上いつ命を落とすか分からない。だから今のうちに思い出を残しておきたいし。」

また正人は筆を走らせ始めた。

正人「よし、これで完成。はい、あげる」

正人から貰った絵を見るとそこには学園の先生、事務のおばちゃん、食堂のおばちゃん、秀作、ヘムヘム、学園の全校生徒、そして私、学園の全ての人が描かれていた。

『こんなすごい絵貰っちゃっていいの?』

正人「あぁ。むしろAに持っていて欲しい。」

『ありがとう、宝物にするね!』

正人「もうそろそろ帰る。A、じゃ...さよなら。もし次会えれば」

『...うん。』

乱太「正人さぁ〜ん!!」

正人「おぉ乱太郎どうした?」

乱太「また必ず遊びに来てくださいね!」

正人「...あぁ。じゃ、またね乱太郎。」

乱太「はい!」

正人「A、ありがとう。近いうちまた来る。また必ず会おう。」

正人はそう言って帰っていった。

また必ず...か。

『乱太郎、ありがとうな。』

乱太「...?」

私は不思議そうに首を傾げる乱太郎の頭を撫でた。

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作者名:はるか | 作成日時:2022年12月30日 17時

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