検索窓
今日:19 hit、昨日:8 hit、合計:3,009 hit

あけぬ夜はなし ページ30

ーーside

────誰かが、泣いている気がした。


誰かが、呼んでいる気がする。



・・・・・・でも、わたしは・・・・・・。


『逃げてはいけないわ。

まだ、“こどもたち”は足掻いてる。
なら、あなたも足掻きなさい。


私たちは“人じゃない”、けれど
あなた達は『人に限りなく近い』。


私達の、可愛くて、大切な末達であり。
敬愛する、私達の“主”でしょう?』


この匂いも、優しさも踏まえた上で
脳が、本能が“彼女”だと叫んでいた。


・・・・・・紅葉切・・・・・・?

『まったく、
何度も心配ばかりさせて・・・・・・

これだから僕の恋人は、目が離せない』

・・・・・・秋声、さん・・・・・・。


『師匠、自分は役に立たないかもしれません

けど、じっとしていられないんです。


師匠、師匠の文学は
自分を救ってくれました。

俺みたいなやつでも、『存在していいのだと』。』

・・・・・・琉庭くん・・・・・・。


・・・・・・あぁ、なんだ。
姉様はそうやって、抜け道を使ってくれていたのか。


────『異能』を作り変えるなんて、
水菜姉様にしかできない『荒技』、あまりに・・・・・・


花「紅葉切、わたしを、導いて」

『ええ。 言われなくとも』


母親の愛を、
本当の母親の代わりに注いでくれた彼女だから

信頼できる。

この異能にもし、名前をつけるなら。


花「───異能力、『大地の導き』。」


ありったけの異能の力を込めて生まれたその結晶に
今、せめてもの力になるようにと

守りのための力を込める。


花「・・・・・・ああ、なるほど?

この力は・・・・・・」


紅葉切「ええ。 こちらの世界では死している
貴方の眷属達の力を集約した物です。

地母神は眷属が多い、
大地に存在する全てを統括する力。

それを、貴方の『植え付けられた異能』を棄却し
生まれた余白にはめ込みました。」


ぱきっ、と
欠けたような音とともに、生み出した結晶が消える。

消えた先は分かりきった話。

悔いはない。


花「ねぇ、紅葉切」

紅葉切「大丈夫。

お前は図書館を、弟子を、文士たちを守りきった。



つぎは、あの子達の仲間としてあの子達を守る番。
そうでしょう?

『桜木花』。」


花「よーくわかってるみたいですね。」


紅葉切「当たり前でしょう。

何年お前達を見守ってきたと思ってるんですか。
・・・・・・花、決してあの子達の手を離さないように。

お前を愛してくれる子達を、取りこぼさないようにね」

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.3/10 (6 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:クラウン | 作成日時:2023年7月22日 4時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。