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give me love again ページ31

──side

身体中に嫌な痛みを感じる。

規則正しい電子音に、
どこか嗅いだことのあるような匂い。

ただ、
視界に飛び込む天井はどことも知れないわけで。


「・・・・・・こ、こ・・・・・・は」


「・・・・・・目が覚めたかぁ〜な?

ここは精霊の国の王立病院だぁ〜よ」


「王立、びょういん?

・・・・・・せいれい、の・・・・・・く、に・・・?」


喉がかわいて、この口につけられたマスクが邪魔で
うまく舌が回らない。

それよりも、きもちがわるい。


込み上がってきた不快感に嗚咽を漏らすと、
軽く、体の負担にならない程度に

上半身を起こされて、
膝の上に用意されたバケツに吐き出す。


「『フィール』、とりあえず“彼ら”に連絡してく〜るよ。

すこし、“たのんだ”よ?」


「あぁ、ジェス先生。アタシに任せてくれ。

・・・・・・全部吐き出してしまったほうがいいぞ、
吐き出したら水を飲もう。


看護婦さんが体を拭いた後に
洗浄魔法を使ってたから、風呂はいいとして

・・・・・・食欲はあるか?

ないならリンゴジュースとかみたいな、
手っ取り早く、
カロリーが摂取できるジュースとか買ってくるけど」


小さく首を横に振ると、
その子はしょんぼりとした顔で

「そうか・・・・・・」と返してくる。


この子は・・・・・・。

ともだち、なのだろうか。


「たぶん、アタシのこと覚えてないよな。

アタシはフィール。
おまえ・・・・・・『サクラギ・イナミ』は

アタシのハジメテの友達だ。」


水を飲んでからゆっくり再びベットに横になると、
口を拭われ、
酸素マスクをつけられる。



「ごめん、なさい・・・・・・」


フィール「ううん、気にするな。

・・・・・・イナミ、何か思い出せることはあるか?」



「・・・・・・約束が、あった、気がするん、・・・・・・です」


フィール「約束?」


「・・・・・・内容は、覚えてなくて、

・・・・・・でも、・・・大切な・・・・・・」


「イナミ!!!」

スタパーンッッ!
と、病室の扉が開け放たれる。


どこか見覚えのある・・・・・・そうだ、


稲波「ミツ、オ・・・・・・?」


ミツオ「ん。

・・・・・・よかった、おきて・・・・・・!」

抱きつかれて、
泣かれながら、ミツオが喜んでいるのに

なぜ、

私は“ミツオがここにいるはずない”と
本能的に思っているのか。


そう考えると、なぜか
動かせるはずの右腕を動かすこともできなかった。

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作者名:クラウン | 作成日時:2022年12月31日 17時

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