宣戦布告4 ページ5
仕事再開から数分。
旧多「A三等、コレお願いしますね」
『え?』
どさっ!
慣れぬ手つきでパソコンを打っていた私の机へ無造作に置かれる、書類の山。
え、何これ。
旧多「〜♪」
呆然と視線を巡らせると、鼻歌を奏でつつ颯爽と自分のデスクに戻って行く旧多一等の後姿が見えた。
…やられた!
あの上官、部下に仕事押し付けたな!?
反射的に思い切り旧多一等を睨むと、彼は遠くからニンマリ微笑んで私を見る。
旧多[よ・ろ・し・く]
『〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!』
口パクのおまけ付きで。
ただでさえ自分の仕事で手一杯だったのに…!
本当なら今すぐお返ししたい、けれど仕事を突っ返したら職場内での私の立場はガタ落ち。
義父の評判に影響が出たら本気で困る。
だから私は理不尽の一つや二つぐらいなら、黙って我慢しなきゃいけない。
それは入局前から分かっていた事だった。
有馬さんは「何かあったら言うんだよ」って言ってはくれているけど…そこでハイそうですかと甘えたら、女が廃る。
ここは耐え忍ぶばかりだ。
『ちっくしょ〜…』
私は階級に反旗を翻して毒づき、紙の山の一番上にあった書類を手に取り作業を始める。
…と、その時だった。
キジマ「この案件は…っと。おや、Aさんは忙しそうですねぇ〜」
『え?』
私のデスクに積まれた量の二倍はある書類の束を持ったキジマ准特等が、そんな事を言いながら通り過ぎたのは。
准特等はそのまま私の所を離れ、旧多一等のデスクへ。
キジマ「旧多くん、見たところ随分とお暇みたいですし…」
旧多「はい?」
キジマ「これ、【明日までに】頼みますよ」
そして何と、その書類たちをドンッ!と旧多一等のデスクに積み上げた。
旧多「え…えぇ!?」
キジマ「書類整理は君の専売特許でしょう?ホホ、任せました」
旧多「…はぁーい」
断る隙を一切与えず旧多一等に仕事を《譲渡》し、コツコツと奇っ怪な足音を立てて立ち去るキジマ准特等。
私に仕事を押し付けて得意げだった旧多一等の顔はあからさまに不機嫌に歪み、一方の私は心の中で万歳三唱していた。
ざまァ見ろ、卑怯な真似するからだ!
その後、旧多一等は素人目からも異常な多さの仕事に忙殺され…
『では一等、お先に失礼しますねー!』
旧多「…ご勝手に…」
一方で早々と仕事を終えた私は、短時間でげっそりやつれた上官を尻目に意気揚々と帰途についたのだった。
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みきざわ(プロフ) - あずまさん» 鼻血どんどん出しましょう!(笑)閲読有難うございます〜! (2019年1月23日 19時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
あずま(プロフ) - あぁ…やばい、、、鼻血でるぅ(;´Д`)ハァハァ (2019年1月23日 15時) (レス) id: 97c5686003 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - えぬ=)さん» ニムラの魅力、少しでもお伝え出来ているのなら幸いです!尊敬だなんてそんな、勿体ない(笑) 嬉しいお言葉、恐縮です! (2019年1月21日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ=)(プロフ) - ああ……溶けちゃいそうです……← 本当に最高です……前作からずっと思ってたけど最高です……尊敬してます……!何故そんなににむにむの魅力を素晴らしいクオリティで書けるのか……尊敬してます(二回目) (2019年1月21日 0時) (レス) id: ae2a3cb03d (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハニーさん» 謹んで新年のお慶びを申し上げます!2019年がハニー様の良き年になる事を願っております... (2019年1月1日 0時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年12月16日 18時