僭越ながら上官様、宣戦布告させて頂きます

宣戦布告３ ページ4

『何なんですか…』

旧多「決まってンじゃないですか。僕もお昼食べに来たんですよ」

飄々と言い放ち、旧多一等はドカッと私の隣の席に腰を据える。


『こ…来ないで下さいよ、他の席だって空いて』

旧多「上官に指図する気ですか？何処に座ろうと僕の勝手でしょ」


拒否を試みるも速攻で論破され、私は言い返すのも虚しくなって盛大な溜め息と共にスプーンを手に取った。

早く食べちゃおう。んで、さっさと旧多一等から離れよう。


六根清浄六根清浄と隣の悪魔に内心唱えながら食事を再開しようとすると。


旧多「わぁ〜真っ白。脱色ですか？」


言い返さない私に気を良くしたのか、旧多一等はニヤニヤと嫌味な笑顔を貼り付けると。


…赤い手袋の嵌った手で私の、肩にかかるぐらいに伸ばしてある白い髪を一束掴んで弄り出したのだ。


旧多「パパリンそっくり(笑)」





まるでおもちゃか何かのような扱いで指に絡めては解いて、つまんで離して…





これには流石に、頭に来た。


『やめてください！』


ピシャリと言い放ってその手を払い除けると上官は「こっわ〜」と下衆な笑み。

『これは地毛です！ほんっと最低、セクハラ！』


私は残っていたカレーを食べる気も失せ、あと数口分はあるそれの皿を持ち上げてカウンターへ歩き出す。


『ご馳走様でした！』

おばさん「ひっ…」

『あーっ違うんです！』

食後の挨拶にも苛立ちが隠し切れずパートのおばちゃんをビビらせてしまい、きちんと訂正してから私は足早に食堂を出た。




が。




旧多「A三等♡忘れ物でぇーす」

『あ…』



カッとなった状態で食堂を飛び出した私は、机に財布を置きっ放しで来てしまったらしい。


旧多「はいどうぞ」

『っ…ありがとう、ございます…！』


キジマ准特等の前で、いかにも得意満面といったように私へ財布を渡して来る旧多一等。


旧多「しっかりして下さいよ、あ・り・ま・Aさぁん」

キジマ「ホッホ、旧多くんは面倒見が良いですね」

『あ、あはは…私せっかちで…』




──────あぁぁぁぁぁッうっざい！！！



キジマ准特等の背後で私にウインクを決める旧多一等にキレつつ、私は何とか表面上の愛想笑いを作る。


何も知らずにのほほんとあのクソッタレ上官を褒めている准特等の手前、面と向かっては怒鳴れないのが口惜しい。


性悪上官め！覚えてろ！


恐らく義父に聞かれたら卒倒される口汚い悪態を心の中で吐き、私はデスクに座った。

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