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宣戦布告17 ページ18

軽く刃をスイングさせて血脂を振り払い、今度はフロアに残っている喰種の残党を瞬時に捕捉。


────────後はたったの十数体か。


粗方は先発部隊の捜査官が片付けたのだろう、明らかな殺意を持ってこちらに接近して来る喰種は意外に少なかった。

なぁんだ、と少し物足りなく思ってみたり。


旧多「A三等!勝手な行動は慎めと…」

『大丈夫です。私、強いので!』



後から追いついた旧多一等が珍しく声を荒らげるが、早々に喰種三体を討ち取った私は良い気になって彼を突き放した。


『上官は黙って見てて下さい、私だけで制圧出来ます!』


そう言うと旧多一等の返事も聞かずに敵陣のど真ん中に飛び込んで行く。



阿鼻叫喚の悲鳴。殺せ殺せの怒号、私に集中する怨嗟と敵意の混じった歪みだらけの淀んだ空気。




『全員駆逐』




私はそれを、喩えられない興奮と高揚感に任せて一緒くたに薙ぎ払った。

刃から掌に伝えられるのは骨を砕く感覚、肉を断つ衝撃。

鼻腔いっぱいに饐えた血液の匂いが満ち…不快なはずの金属臭さえ戦意を掻き立てられる。




喰種「ぎゃああああ!!!」「ひぃぃぃッ」



断末魔が絶え間なく響き渡る阿鼻叫喚の戦場において、私はしかし、かつてない《生の実感》を感じていた。


まるで自分が絶対的強者に成り上がったかのような心地に鳥肌が立つ。



旧多「…」


旧多一等は私を何とも言えない顔で見ていたが、今の私には彼について考慮する暇なんてなく。





私は勢い任せに次々と喰種を仕留めて行き、数分で敵数を残り一体にまで追い込んだ。

血塗れたクインケを突きつけ、最後のターゲットを壁へと追い詰める。


喰種「ひっ…!」


喉から絞り出すような悲鳴を上げて壁に背をつけ、ずるずるとへたり込む喰種。

でも哀れみは生まれない。

あるのは対象を駆逐しなければという任務感、そして旧多一等へ自分の力を見せつけられたという得意げな気持ちだけだ。

私は血で鈍色に輝くクインケを上に振り上げ、トドメを刺そうと構える。




『駆逐、完りょ──────』




そのまま刃を振り下ろしていれば、私は眼前の敵を仕留められたはずだった。









喰種「ま、待ってくれ!」









喰種「俺には…俺には妻子が、家族がいるんだッ!」









臨終の間際に際している喰種から、悲痛な言葉が飛び出しさえしなければ。









『…か、ぞく』



亡き両親の顔が脳裏に蘇った瞬間、動けなくなった。

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みきざわ(プロフ) - あずまさん» 鼻血どんどん出しましょう!(笑)閲読有難うございます〜! (2019年1月23日 19時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
あずま(プロフ) - あぁ…やばい、、、鼻血でるぅ(;´Д`)ハァハァ (2019年1月23日 15時) (レス) id: 97c5686003 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - えぬ=)さん» ニムラの魅力、少しでもお伝え出来ているのなら幸いです!尊敬だなんてそんな、勿体ない(笑) 嬉しいお言葉、恐縮です! (2019年1月21日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ=)(プロフ) - ああ……溶けちゃいそうです……← 本当に最高です……前作からずっと思ってたけど最高です……尊敬してます……!何故そんなににむにむの魅力を素晴らしいクオリティで書けるのか……尊敬してます(二回目) (2019年1月21日 0時) (レス) id: ae2a3cb03d (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハニーさん» 謹んで新年のお慶びを申し上げます!2019年がハニー様の良き年になる事を願っております... (2019年1月1日 0時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年12月16日 18時

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