宣戦布告14 ページ15
真戸「二次会行くぞぉ二次会〜♪」
瓜江「(阿呆らしい)俺は辞退しま…」
政「瓜江、お前も当然来るだろう?」
瓜江「…はい」
やがて宴会はお開きになり、二次会へもつれ込む者は次の店、帰る者はそれぞれの帰途へ…となった頃。
旧多「ではまた、キジマさん」
キジマ「どうも。A三等をお願いしますね」
僕は自ら申し出、泥酔中のA三等の介抱役に回ることで二次会を上手く回避した。
…人間の振りをして食物を摂取するなんて、半人間の僕にとっては拷問と同じ。
ビールや日本酒なんて濃縮した塩酸を飲まされているような心持ちだったし、つまみの焼き鳥なんて使い古した機械油に塗れた蛙でも食っているみたいなクソ不味さだった。
それでも何とか吐かずにいる時点で奇跡に近い。
旧多「…」
店内から捜査官の一団が完全に消えたのを確認した後、僕はようやく浮かべていた愛想笑いを消して具合悪さに顔を歪めた。
─────良いですねぇ、貴女はお気楽で…
隣ではA三等が机に伏したまま惰眠を貪っており、結構本気でイラつく。
呑気にお寝んねとはいいご身分だ。
隣では上官が吐き気に悶え苦しんでいると言うのに。
旧多「すみません、お冷貰えますか…」
女将「はいよー」
取り敢えず水を要求しつつ小生意気な部下の顔を覗き込むと、彼女は何とも平和ボケした笑顔で譫言を紡いでいた。
『…ん…ぉ…とうさ…かあ、さん』
親の夢でも見ているのか。
ガキ、と鼻で笑うも本人は聞いていないので少々虚しくなる。
女将「はい、お水!」
旧多「どうも…」
店員から水を受け取って一気に呷ると、心地よい冷たさが少しだけ胃のむかつきを治めてくれた気がした。
とは言っても、気休め程度だが。
落ち着いたらさっさとA三等を叩き起こして帰ろう、と考えながら僕は空になったコップを置いて視線を再び女に戻す。
その時だった。
『ごめんね』
唐突だった。
旧多「…!」
間の抜けた女の声が不意に零した、許しを乞う言葉。
ごめんね。
おとうさん、おかあさん。
わたしのせいで。
わたし、なにもできなかった。
掠れた声で呟かれるA三等の台詞を聞いた僕はそこでようやく、彼女が実の父母を喪っている孤児の身であることを思い出した。
そうか、こいつも。
底知れぬ喪失感をその身をもって味わった、弱くて哀れな人間のひとりだった。
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みきざわ(プロフ) - あずまさん» 鼻血どんどん出しましょう!(笑)閲読有難うございます〜! (2019年1月23日 19時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
あずま(プロフ) - あぁ…やばい、、、鼻血でるぅ(;´Д`)ハァハァ (2019年1月23日 15時) (レス) id: 97c5686003 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - えぬ=)さん» ニムラの魅力、少しでもお伝え出来ているのなら幸いです!尊敬だなんてそんな、勿体ない(笑) 嬉しいお言葉、恐縮です! (2019年1月21日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ=)(プロフ) - ああ……溶けちゃいそうです……← 本当に最高です……前作からずっと思ってたけど最高です……尊敬してます……!何故そんなににむにむの魅力を素晴らしいクオリティで書けるのか……尊敬してます(二回目) (2019年1月21日 0時) (レス) id: ae2a3cb03d (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハニーさん» 謹んで新年のお慶びを申し上げます!2019年がハニー様の良き年になる事を願っております... (2019年1月1日 0時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年12月16日 18時