僭越ながら上官様、宣戦布告させて頂きます

宣戦布告７ ページ8

『でね、腹立つんですよ！昨日も旧多一等は…』

ハイル「ふふふ、ねぇA」

昼休憩、《庭》時代からの馴染みなハイル先輩をロビーに呼び出し、数日の愚痴をぶちまけていると。




ハイル「実は結構好きやしょ？ザンネン旧多」






『…はい？？？』

先輩はメロンパンを齧りながら、さらっと空恐ろしい台詞を口にした。

『好、き？旧多一等を？誰が』

ハイル「Aが」

『…いやいやいや！！！』


当然私は大慌てで否定する。

妙な誤解を、それも目の敵相手にされては堪らない。


『全っ然好きじゃない！寧ろアンチですけど！？』


私はムキになって吼えた。

ハイル「必死やね〜」

『そりゃ必死にもなります！』



『ともかく、旧多一等なんて好きじゃありません』


なのに、ハイル先輩は尚も続ける。


ハイル「でもA、旧多の話してる時は楽しそうやよ〜」

『してません！この死んだ目が見えませんか！？』

ハイル「私はアイツ好きやないけど…応援してるしょ♡」

『投げ槍なフォローやめてください！』


どんな手違いか、既にハイル先輩の中では【A♡旧多一等】というムカつき余って憎さ百倍な恐怖の相合傘が出来ているらしい。


どうやって誤解を解こう、と頭を抱えるそばから更に追撃が来た。


不知「よっ、A！」

才子「この前はすまぬ…」

『あ、みんな』

六月「Aも休憩してたんだね…あれ？」




六月「【いつも一緒の】上官、今日はいないんだ」





『…あ？』


才子「誰なり？」

不知「あー！あのイケメンさんな」


『待てアンタら、誰の事を────』


不穏な空気を感じ取り三人に詰め寄りかけた時。





瓜江「A…珍しいな。今日は旧多一等、居ないのか(愛想でも尽かされたか)」





通りがけに瓜江が言い放った台詞が決定打となった。



『…』


───ガツン！！！


一同「「「A！？」」」


私は凭れていた手すりに額が激突して音が鳴るのも構わず、全力で項垂れる。



何でこんな事に。

毛嫌いしている上官と【仲が良い】ことになっているなんて。




そのまま黙っていると、ＫＹな才子が余計な迫撃砲を放り込んだ。


才子「ん？何やA、照れとるんか？」




『違う───────ッ！！！』



休憩スペースの和やかな空気をぶっ壊す、他ならぬ自分自身の悲鳴。

上官上司お客様方、そして友人達からの冷たい視線を一手に引き受けたまま、私はああっと声を上げて頭を抱えた。

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