僭越ながら上官様、宣戦布告させて頂きます

宣戦布告２６ ページ27

どうするどうなる、有馬A！？

私が取れる行動は一つだった。







『トーカさん』

トーカ「何？A」



『男の人ってどう誘えば良いんでしょう…？』




トーカ「…はぁ！？」


行きつけのカフェ【:re】にて。

最近何かと懇意にして頂いている年上の店員さん・トーカさんに悩みをぶっちゃけると、トーカさんは美人な顔を《馬鹿じゃねぇの》と言った感じに歪めた。


トーカ「さ、誘うって誰」

『上司と言うか、先輩と言うか…カフェタイムに誘いたいんですけど』

トーカ「マジか！信じらんねー、Aが男誘うようになるなんて」

『初めてですよ、初めて…』









しかもその相手があの性根のねじ曲がった旧多一等と来た。






トーカ「どんな奴？そいつ」

聞かれて私は旧多一等を思い出し、思いつくポイントを指折り数える。


『えーと、掴み所無くて嫌味上手くて女たらしで性悪で計算高くてドＳで…』

ニシキ「何でそんな奴誘うんだよ！ドMかお前！」


お皿洗いに徹していた店員のニシキさんに突っ込まれるがどうしようもない。

だって全部本当の事だし。



『あ、でも稀に優しいし上司としては…尊敬、して…尊敬しているような、気が…しないでもない…』



慌ててポジティブポイントを上げようとするも素直に賞賛出来ず、まぁ苦々しい口調。

強情で煮え切らない私を見て、二人の店員は顔を見合わせてやれやれと肩を落とした。


トーカ「ニシキ、あんたの女引っ掛けるテクニックとか使えんじゃないの？」

ニシキ「人聞き悪りぃな…あー、でも無ぇことはないか」


ガリガリと後頭部を掻きつつ口を開くのはニシキさん。




え、無いことはない！？


縋るような目を向けるとニシキさんはたじろいだが、やがてにやりと得意げな笑みを浮かべた。







ニシキ「…そうだな。Googleで《ナンパ テクニック》って調べてみろ。意外と参考になんぞ」



『ほぉ…』






なるほど、《ナンパのテクニック》。

それは盲点だった。

やはり相談とはしてみるものだ、他角度からの視点が得られる。




『珈琲ご馳走様でした、また来ます！』

ニシキ「健闘を祈る」

トーカ「…大丈夫か…？」









指南を受けた私はやる気満々で【:re】を後にし、速攻で家に帰ってリビングのパソコンを開く。


『えーと、ナンパナンパ』


有馬「！？」


リビングではくつろいでいた有馬さんが不安げな目を私に向けていたが、頓着している暇はなかった。

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