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勿論この後は旧多さんによる嫌味に次ぐ嫌味、お小言に続くお小言の連続だったけれど。
旧多「今後はこういう事がないように!…但し」
『はい…?』
旧多「あの場面で床ぶち抜くっていうギャグセンスだけは、立派でしたよ」
『…それ、実は私もちょっと思いました』
旧多「あれは最高でした!いやぁ〜あん時の准特等のお顔、愉快だったぁ」
『あはは…』
帰る間際に旧多さんは何だかんだで私を褒めてくれて(ちょっと焦点ズレてるけど)、凹んでいた私の気分を少しだけ上に向けてくれたのだった。
───────────…
あれから何年もの時が流れた。
宗太「…なぁんて事もありましたね〜」
『うわ、まだ忘れてなかったんですかその話!』
宗太「そりゃそうでしょう。愛する妻の若かりし頃ですよ?懐かしいなぁ」
『そろそろ時効にして下さいっ!これでも准特等まで到達したんですから…』
いい大人ふたりでベッドに入り、互いの温もりに埋もれながら私達は思い出話に花を咲かせる。
まだ私が未熟な捜査官だった頃の黒歴史。
私としては一刻も早くこの世から抹消したい記憶を、しかし宗太さんはさも楽しげに語るのだ。
宗太「傷、残らなくて良かった」
『ですね…意外とあっさり無くなったので』
指先で確かめるように私の頬を辿り、満足げに微笑むかつての上官。
あの時はまさか本当の意味で《死ぬまで》旧多さんと…宗太さんと一緒に居ることになるとは夢にも思わなかった。
人生って本当によく分からないなぁ…
なんて思っていると、宗太さんは不意にくぐもった笑みを零す。
『どうしました?』
首を傾げた私に、宗太さんは何でもないような口調で言った。
旧多「どうです?…結局、僕の言った通りになったでしょ」
今まさに私が考えていた事をそのまま口にする旦那様に、背筋がぞわっと総毛立つ。
『イヤーッ!何で私の心勝手に読むんですか!』
旧多「ふっふっふ…愛の力ですよ」
『やめて下さいよ変な能力行使すんの!』
不気味な笑いを漏らしながら戯言をほざいている宗太さんから身体を遠ざけつつ、心の底から思う。
この上官には、何回何千回とボロ屋の床をぶち抜いても、絶対に勝てない。
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みきざわ(プロフ) - イヴ「和」○かき氷さん» 好き放題書かせて頂いている次第ですが、面白いと言っていただけるとは幸せの極み.......!ありがとうございます!イヴさんのご感想に毎度励まされております! (2019年8月22日 17時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ「和」○かき氷(プロフ) - またまたこんにちは!!こちらの作品もめちゃくちゃ面白かったです!!やっぱみきざわ様の書く旧多君は最っ高ですね!!また鼻血出そうでしたよ…素敵な作品ありがとうございました!!! (2019年8月22日 9時) (レス) id: 4e47db8a66 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハルさん» なかなか面白くする文体に慣れておらず四苦八苦しております(笑)表現技法とは難しいものです... (2019年4月29日 21時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 短編もおもしろいし、最高ですね!みきざわさまの作品のにむらは相変わらず最高です!! (2019年4月29日 20時) (レス) id: d53301ec48 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - 優衣さん» ファンの少なさ、私も語れる人がたいへん少ない現状を憂いている次第です.......。お読み下さり本当に有難うございます! (2019年4月5日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年11月7日 6時