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旧多「…流石に少し虐め過ぎましたかね」
ガシガシと頭を粗雑に撫でられ、その拍子にベッドのシーツへ雫が一粒だけ零れる。
旧多「先程は些か度が過ぎました、謝っておきます。腕の件も大して痛まないのでご心配無く」
ムスッとした口調ながら上官の言葉は間違いなく私へのフォロー。
旧多「喰種に同情するな、とは申しますが…僕や准特等みたいに無感動な捜査官ばかりでも、それはそれでキモイ世の中でしょうね」
旧多「Aさんのような甘ったれも、一人ぐらい必要でしょう」
その台詞に私はハッとした。
先程の、執拗なまでの《私のミス＝鈍臭い、技量不足》をあげつらう旧多さんの叱声。
私の“戦闘能力の欠如”を暗に示す過激な表現を何度も繰り返し、琲世さんが意見する場を一切与えなかった。
──────琲世さんから、隠してくれたんだ。
私が《喰種を殺す事を躊躇した》あるべくもない事実を。
『…気づいて、いたんですか』
旧多「そりゃ貴女の上官ですから。分かりますよ、そんぐらい」
また…護られてしまった。
怒られるより、そっちの方がずっと深く心を刺した。
少しは成長したかな、なんて思っていたのに。
まだまだ旧多さんという上官の背中は遠くて、大きくて。
とても手が届かないと自分の非力を痛感した。
『…ごめんなさい…』
旧多「謝罪してる暇があったら早く怪我治す事ですねぇ」
相変わらず人を喰ったような笑みを浮かべた後、旧多さんは「ついでに言っておきましょう」と言いながら私の背をぽんぽんと叩く。
旧多「顔の傷がもし残ったとして…Aさんが心配する必要は毛頭ございませんよ」
旧多「どのみち貴女が死ぬまで僕の《モノ》である事に、何ら変わりは無いのですから」
…普通の人が聞いたなら、絶望以外何も感じられないだろうその言葉。
でも今の私にはその一言が凄く嬉しくて、安心して、まるで救いの台詞のように思えた。
『旧多さんっ…ありが、』
旧多「だけどご主人様としてはもう少し、《使える》子になって欲しいですね」
『…』
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みきざわ(プロフ) - イヴ「和」○かき氷さん» 好き放題書かせて頂いている次第ですが、面白いと言っていただけるとは幸せの極み.......！ありがとうございます！イヴさんのご感想に毎度励まされております！ (2019年8月22日 17時) (
レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ「和」○かき氷(プロフ) - またまたこんにちは！！こちらの作品もめちゃくちゃ面白かったです！！やっぱみきざわ様の書く旧多君は最っ高ですね！！また鼻血出そうでしたよ…素敵な作品ありがとうございました！！！ (2019年8月22日 9時) (レス) id: 4e47db8a66 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハルさん» なかなか面白くする文体に慣れておらず四苦八苦しております（笑）表現技法とは難しいものです... (2019年4月29日 21時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 短編もおもしろいし、最高ですね！みきざわさまの作品のにむらは相変わらず最高です！！ (2019年4月29日 20時) (レス) id: d53301ec48 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - 優衣さん» ファンの少なさ、私も語れる人がたいへん少ない現状を憂いている次第です.......。お読み下さり本当に有難うございます！ (2019年4月5日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みきざわ | 作成日時：2018年11月7日 6時
