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なら別に宗太さんは、私をからかおうとしてた訳じゃなくて。
私と全く同じ企画をしていただけだったんだ。
結論。
私がいじける理由は無い。
そうなると不機嫌が急速にしぼんでしまい、私はどんな顔をして良いか分からず宗太さんを見る。
『宗太さん、あの…』
だが。
私が[変な言い掛かりつけてごめんなさい]と謝る前に宗太さんはニヤッと笑い、
宗太「ドッキリまで被るなんて、僕らやっぱり相性抜群ですよねぇ」
『…!』
代わりに飄々とそんな事を言ってのけたのだった。
私のうじうじした気持ちを一瞬で払い除けてくれる、押し付けがましくない一言を。
これだから宗太さんという人はずるいんだ。
『そ…うですね、はい!宗太さん、サンタの服似合ってますよ!』
宗太「Aも素敵です。そうだ!明日クリスマスですし、一日中その服で…」
『い、や、で、す!!』
爽やかスマイルで狂気じみた事を言う宗太さんに断固拒否の意図を示しながら、私は密かに思う。
…欲しい物、言葉、何気ない気遣い、いざと言う時のヘルプ…私の望むものなら何でもくれる存在。
私にとって宗太さんは正にサンタさん同然…いやそれ以上の人だ。
サンタさんでもくれないようなものを、彼はいつだって平気で与えてくれる。
つまり、私って────────
『…毎日クリスマス…?』
宗太「へ?」
『あーっ違う!違います何でもありません!』
うっかり心の声を漏らしてしまって宗太さんに怪訝な顔をされ、大慌てで誤魔化しながら私はアホな考えを打ち消す。
でも遅かった。
宗太「Aは毎日クリスマスが良いんですか?なら僕、これから家でずっとこの格好…」
『いやーやめて!結構です!』
宗太「えー?そんな遠慮せずに」
『遠慮じゃありません!毎日サンタさん居たら有難み皆無じゃないですか!』
宗太「ブフッ!それもそうですねぇ」
『もう…』
年に一度の聖夜にも関わらず終始宗太さんにからかわれ、結局はいつも通り完敗して轟沈する私。
だけどその後、宗太さんからのプレゼントを見た私は例によって例の如く速攻で機嫌を直し、年甲斐なく歓喜したというのは…また別の話である。
『わぁぁぁ…!こ、これ私が欲しかったお洒落な湿気供給マシンじゃないですか!』
宗太「んー…せめて加湿器って言ってくれません?」
ふざけ過ぎて迷子になりました。済みません…
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みきざわ(プロフ) - イヴ「和」○かき氷さん» 好き放題書かせて頂いている次第ですが、面白いと言っていただけるとは幸せの極み.......!ありがとうございます!イヴさんのご感想に毎度励まされております! (2019年8月22日 17時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ「和」○かき氷(プロフ) - またまたこんにちは!!こちらの作品もめちゃくちゃ面白かったです!!やっぱみきざわ様の書く旧多君は最っ高ですね!!また鼻血出そうでしたよ…素敵な作品ありがとうございました!!! (2019年8月22日 9時) (レス) id: 4e47db8a66 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハルさん» なかなか面白くする文体に慣れておらず四苦八苦しております(笑)表現技法とは難しいものです... (2019年4月29日 21時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 短編もおもしろいし、最高ですね!みきざわさまの作品のにむらは相変わらず最高です!! (2019年4月29日 20時) (レス) id: d53301ec48 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - 優衣さん» ファンの少なさ、私も語れる人がたいへん少ない現状を憂いている次第です.......。お読み下さり本当に有難うございます! (2019年4月5日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年11月7日 6時