〃 ページ21
────────ドスッ
上司「ん？」
午後六時ピッタリ、公園前のベンチに腰掛けスマホをいじっていた或る捜査官の左胸に、真紅の鱗赫が突き刺さる。
周囲にぱっとどす黒い血が飛び散り…しかし断末魔を上げる間も与えず第二撃が飛び、男が漸く痛みを認識し始める頃にはもう、
───グチュ、べキッ…ゴキ
旧多「達磨さん、一丁上がり」
男は完全な骸と化していた。
旧多「アンタが駄目なんですよ？人のオンナに手ぇ出しやがって」
死体を蹴りつけると鈍い音がしてますます造形が崩れ、鉄錆の臭気が濃さを増す。
唇の端に飛んだ返り血を舐めると耽美な味が舌先を痺れさせたが、今や食欲は強烈な破壊衝動に淘汰されていた。
旧多「どの面下げてAにお触り働いちゃってんですか？ねぇ。僕の許可無しにA見ないでくださいよ。ねぇ二等…聞いてます？」
Aに触れた手を、Aを澱んだ意思で見た目を、ぐちゃぐちゃと汚らしい音を立てて赫子で掻き回して行く。
男の原型が完全になくなるまで気の向くままに死体をこねくり回し、我に返った時には人間の原型すら守っていなくて。
旧多「はは、汚ったねー顔…お前にはそんぐらいの見た目がお似合いですね」
ほぼミンチと化した捜査官《だったもの》を最後に革靴で踏み付け、僕は颯爽と公園を後にする。
…公園から喰種に食われたとされる無残な遺体が発見されたとの通報が本部に入ったのは、それから数時間後の事だった。
旧多「待っててね、A」
一旦家に帰って血の匂いが染み付いたコートを着替え、返り血を拭い、今度はAの元へ。
足取り軽く本部の前に向かうと、僕の部下は時計を眺めながら忙しなく視線をさ迷わせていた。
平静を装って声をかける。
旧多「あら？こんな所で何してるんです」
『旧多さん…実は人待ちです』
困ったように笑うA。
『でも二時間ぐらい待ってて、全然来ないんですよ…』
でしょうねぇ。
そいつ、死んでるんで。
僕はほくそ笑むと優しくAに声をかけた。
旧多「…今日はもう帰ったらどうです？もう夜遅いですし。何なら僕がお伝えして置くので」
助け舟を出す体で提案をした僕に、Aは俄に顔を明るくして『良いんですか？』と問う。
あぁ…その目です。何の曇りもない、綺麗な目。
この目を独占出来るならどんな悪事にも喜んで着手するだろう、僕は。
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みきざわ(プロフ) - イヴ「和」○かき氷さん» 好き放題書かせて頂いている次第ですが、面白いと言っていただけるとは幸せの極み.......！ありがとうございます！イヴさんのご感想に毎度励まされております！ (2019年8月22日 17時) (
レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ「和」○かき氷(プロフ) - またまたこんにちは！！こちらの作品もめちゃくちゃ面白かったです！！やっぱみきざわ様の書く旧多君は最っ高ですね！！また鼻血出そうでしたよ…素敵な作品ありがとうございました！！！ (2019年8月22日 9時) (レス) id: 4e47db8a66 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハルさん» なかなか面白くする文体に慣れておらず四苦八苦しております（笑）表現技法とは難しいものです... (2019年4月29日 21時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 短編もおもしろいし、最高ですね！みきざわさまの作品のにむらは相変わらず最高です！！ (2019年4月29日 20時) (レス) id: d53301ec48 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - 優衣さん» ファンの少なさ、私も語れる人がたいへん少ない現状を憂いている次第です.......。お読み下さり本当に有難うございます！ (2019年4月5日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みきざわ | 作成日時：2018年11月7日 6時
