〃 ページ18
旧多「甘えても…ねぇ。本当に?」
『勿論です』
旧多「ふぅ〜ん」
…と、その笑みにふと良からぬ影が落ちる。
ん?と思った時にはもう遅かった。
旧多「なら今夜はいっぱいイチャイチャしましょ♡」
『…はいー!?』
いきなり放たれた爆弾発言に思わず飛び退って旧多さんから離れる。
目の前ではいつの間にかニヤニヤ笑いを満面に浮かべている旧多さんが、チェシャ猫みたいに目をうっとりと細めていた。
旧多「甘えさせてくれるんでしょう?ほら、ここんとこご無沙汰でしたからねぇ…僕も溜まってますし。Aさんも寂しかったでしょ」
『は、え、いや…』
何でこうなった!?
固まる私を見て旧多さんは今度は大袈裟に溜息を吐き、慣れた手つきで私の腰を撫でて来る。
旧多「それとも何です?…ご主人様とのお約束、破る気?」
色香の溢れる低音。腰のラインを辿る、長い指。
ぞく、と背骨を変な感覚がかけのぼった。
『…いいえ、依存ございません…』
旧多「よろしい」
呆気なく白旗を上げた私に、旧多さんは満足げに笑う。
…やられた。
旧多さんを元気付けるつもりが、結局良いように扱われた気がする。
まさか初めからこれが魂胆だったんじゃ…と嫌な考えが過ったが、これ以上考えても余計にこの上官には化かされる気しかしないので、私はそれ以上の考察を諦めた。
旧多「ささ、そうと決まれば帰りましょ」
『はい』
いつの間にか帰り支度を整えていた旧多さんに手を引かれ、局長室を出る。
旧多「う〜ん楽しみですねぇ!今日のAさんはお利口さんなのでうんと可愛がって差し上げますよ、覚悟して置いてくださいねぇ」
『そ、そういう事を大声で言わないで下さいっ…!』
微妙に、いや完全アウトな発言を澄ました顔でぶちかます旧多さん。
でもその顔からは局長室に入った当初の暗さは消えていて、私は密かに安堵を覚えたのだった。
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みきざわ(プロフ) - イヴ「和」○かき氷さん» 好き放題書かせて頂いている次第ですが、面白いと言っていただけるとは幸せの極み.......!ありがとうございます!イヴさんのご感想に毎度励まされております! (2019年8月22日 17時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
イヴ「和」○かき氷(プロフ) - またまたこんにちは!!こちらの作品もめちゃくちゃ面白かったです!!やっぱみきざわ様の書く旧多君は最っ高ですね!!また鼻血出そうでしたよ…素敵な作品ありがとうございました!!! (2019年8月22日 9時) (レス) id: 4e47db8a66 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハルさん» なかなか面白くする文体に慣れておらず四苦八苦しております(笑)表現技法とは難しいものです... (2019年4月29日 21時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - 短編もおもしろいし、最高ですね!みきざわさまの作品のにむらは相変わらず最高です!! (2019年4月29日 20時) (レス) id: d53301ec48 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - 優衣さん» ファンの少なさ、私も語れる人がたいへん少ない現状を憂いている次第です.......。お読み下さり本当に有難うございます! (2019年4月5日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年11月7日 6時