Show me your real face, Mr. Crown！〜閑話〜

〃 ページ13

旧多「見て見て、これぜぇんぶ僕が貰ったんです。すごいでしょ〜」
『凄い…ですね』


素直に凄いなんて思える筈がない。


じわ、と視界が揺らぎ、あぁマズいと思って机で山になっているお菓子達から目を逸らした。

こんな事でいちいちめげてたら話にならない。
分かってる、分かってるの。





恋なんてしなきゃ良かった、なんてベタな言葉が過ぎるぐらいには精神的にやられ切っている。




…そんな限界だった私に、旧多さんはニヤリという意地悪い笑顔を浮かべて更にトドメを刺した。





旧多「でもねぇ、僕…正直言って甘いもん好きじゃないんですよ」







旧多「もし宜しければコイツら全部貰ってくれません？Aさん」





『…！』

勢いで泣き出さなかっただけ私は偉かったと思う。


『いや、です。要りません』


震え出そうとする声を必死に抑えて、どうにか拒否の言葉を絞り出した。
ありったけの気力を総動員して。

旧多「何で？貴女お菓子好きでしょ」

理由なんて分かっているくせに、わざと傷口を抉るような問いかけをして来る旧多さん。


何て残酷な人なんだろう…この人は。


旧多「それに、もう設定忘れたんですか？おバカさん。《僕の物》がご主人様に楯突いちゃ駄目でしょが」

『…っ』

旧多「命令です。Aさんは責任持ってコイツらを引き取って下さい♡」


《所有権》うんぬんを出されると痛い。


こうなると私は断れない…だってまだ死にたくないもん。子供じみた理由だけど実質ガチ。


『…分かり、ました』

うわぁー嫌だな、旧多さん宛に届いたお菓子を貰うなんて。
尚更《脈無し》が身に染みる。


それに、…こんなに一人で消費したら太るんだよなー！色恋の前にそもそものお話でさぁ！


そうだ。…才子にあげよう。あのミニブラックホールなら多分吸い込んでくれる。
あとは真戸さん。それから六月、あーどうしよ…あと五里さんと穂木さんと…



無理やり思考を前向きに強制しながらお菓子をカバンに押し込もうとした時だ。



旧多「あれあれ？Aさんまさか、タダで僕があげるとでも思ってらっしゃるんですか？」



『え…』




まだやるか。



ここまで来ると流石に旧多さんへの想いが薄れそうになる。





旧多「僕をサンタさんか何かと勘違いしてません？ぶふっ、そんな訳ないでしょ。お代はきっちり頂きますよ」


先程よりも嫌味ったらしい言い様で旧多さんは吐き捨て、私のデスクに歩み寄る。



『お代…って』

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