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生死を賭けた鬼ごっこから1週間。
あの夜鬼は氷漬けのまま、朝日を浴びて氷と一緒に溶けていった。
その後は内心パニックになりながらも何とか家に帰り、母の亡骸を土に埋めた。
だいぶ鬼に食べられてしまい小さくなった母。
生前美しかったその容姿は今や見る影もない。
俺がもっと早く帰っていたら。
もっと早くにあの不思議な力に気付いていたら。
なんて、考えてもしょうがない事ばかり頭に浮かぶ。
母さん、母さん。
痛かったよね、怖かったよね。
女手一つで俺を育ててくれたのに、俺は親孝行が何もできないままだった。
ポロポロと溢れ出る涙を拭きながら争った痕跡が色濃く残る部屋の片付けをする。
飛び散って床板に染み込んでしまった血はどうすることも出来ないので、壊れた机や食器をまとめることにした。
散らかった食器を手に取り、ふと俺の力について考える。あれは本当に自分の力だったのか。確認する為に鬼を凍らせた時と同じ様に力を込めるとそこには氷に覆われた茶碗があった。
氷の力に虹色がかった瞳と、白橡色の髪。
ここが本当に鬼滅の刃の世界ならこのワードで思い付く人物が1人いる。
童磨だ。
俺の父親について母は何も語らなかったので、100%確信があるわけではないが、もしかしたら俺の父親は童磨だったのかもしれない。
もしそうなら、普通ではない容姿とこの氷の力にも納得する。
だが…
「俺の父親が童磨とか……ないわー」
その一言に尽きる。
だって童磨ってあれじゃん?
鬼の中でも同情できないランキング(俺調べ)で上位に入るサイコパス野郎でしょ?
そんな鬼が父親とか、母さん男の趣味悪いよ!
鬼と人間の子供。しかも特殊能力付きとか、もし鬼殺隊にバレたら危険人物として殺されるんじゃない?
それに鬼殺隊どころか一般人にバレても見世物小屋行きになりそうだ…。
恐ろしい未来を想像してブルリと震え、絶対にバレない様にしないと!と心に決めた。
片付けが粗方終わり、これからどうしようと考える。
いくら前世の記憶があるといっても、今の俺は幼い子供だ。1人で生きていけるとは思えない。
かと言って追い出された村に戻るわけにはいかないしなぁ…。
「町へ…行こうかな…」
最低限の荷物と少ない現金を握りしめて、俺は家を出た。
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河岸エマ(プロフ) - 爽雫さん» うわあぁ私も大好きです!設定を上手く活かせてない気もしますが頑張ります!!モチベめっちゃ上がりました!ありがとうございます!! (2020年2月24日 14時) (レス) id: b2cd8ae7ef (このIDを非表示/違反報告)
爽雫 - 童磨の息子なんて神設定じゃないですか!?凄い続き楽しみです。更新頑張って下さい!応援しています!!だいすきです(*>∀<*) (2020年2月24日 14時) (レス) id: c8b0ff9423 (このIDを非表示/違反報告)
河岸エマ(プロフ) - お虫さん» ありがとうございます!近々更新すると思うのでまたよろしくお願いします! (2020年2月23日 23時) (レス) id: b2cd8ae7ef (このIDを非表示/違反報告)
お虫 - 好きです!次の更新楽しみに待ってます! (2020年2月23日 7時) (レス) id: 2f9884d86e (このIDを非表示/違反報告)
河岸エマ(プロフ) - アンちゃんさん» マジですか?!それは嬉しいです!pixivでもこちらでもよろしくお願いします!! (2020年2月15日 21時) (レス) id: b2cd8ae7ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:河岸エマ | 作成日時:2020年2月15日 16時