Disaster game【黒バスホラー】

Plan.7 ページ9

「A？名字はないんか？」


「ここには"A"としか書いていないですね」


確かにトーマス・アルマンドはフルネームなのに彼女は名前だけ。

何か事情があるのだろうか。


「ねぇ赤司っち！その実験成功とか失敗とかって、結局どういうことなんスか？」


「成功は成功、失敗は失敗だろ」


「違うッス！青峰っち！俺が聞きたいのはT-ウイルスを打ってどういう"状態"になることが成功なのか聞きたいんスよ！」


へー、黄瀬のくせに。なんて言われてキャンキャン吠える黄瀬くん。


「いい質問だが、俺もまだ詳しいことは分からない。とりあえず、彼女を探すことが先だろう。恐らくそれが答えだ。それに彼女こそがここから出られる最大のヒントかもしれない」


「なんでそう思うんだ？」


伊月先輩が赤司くんに聞く。


「ゲームマスターが彼女のことを俺たちにとって有利な助っ人だと言ったんです。それに、ここにある全てのカルテを見ましたが唯一、彼女だけが実験に成功している。大まかに例えるなら、T-ウイルスを投与する実験で成功が"生"で失敗が"死"を表すのだとすれば、ゲームマスターが彼女を探せと言ったのは彼女が生きているからであり、事実この世界で重要な鍵を握るのはこのAさんだということではないかと思ったんです」


「なるほど。投与しても異常なしは成功、投与して人体に影響が出ると失敗、といった感じか…」


赤司くんの話を聞いて氷室さんも顎に手をおいて考える。


「だがそのT-ウイルスは生物の細胞や代謝を異常促進させるんだろう？そんなウイルスを人間に打つのなら仮に成功者でも異常無しはおかしいのだよ。何かしら人体に影響があるはずだ」


「確かに緑間の言うことも一理ある。まずは彼女を探そう。とりあえず初めは桐皇と誠凛の方にこの階を探索して頂きたい」


よろしいですか？と聞かれ、


「あぁ、わかった。全員行くぞ！」


「「「「おう！」」」」


日向先輩の声に全員で返事をする僕ら。


「よっしゃ行くで、青峰」


「あー、ハイハイ」


よっこいせと立ち上がる青峰くんとそれを急かす今吉先輩。


「ホラ、桜井。そんな固くなるなよ」


「ひっ！？だ、大丈夫です！スイマセン！！」


「…大丈夫かなこいつら」


桜井くんを励ます若松先輩と不安に駆られる諏佐先輩。


諏佐先輩には同情します。


火神くんなんて僕の隣で失神しそうな勢いで口をパクパクさせてますから。


お願いだから倒れないで下さい。

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