【utit】満月の夜、君は優しく微笑んで…【短編集】【合作】

続 ページ31

急にこんな話を持ち掛けるなんて、さすがにまふも呆れたか。
第一、まふの事を信じてるから前世の話の事もそうなんだ…程度に済ませることも出来たのに。
まるで私が、まふの事を信じていないみたいじゃないか。

『…ごめん、やっぱり気にしないで』

「……ごめんね、怖がらせた？Aの話は何であろうと最後まで聞くから……なかった事にしてほしくない…かな」

『……違うの。まふの事を怖がってるんじゃない……まふが、……まふが、離れていきそうで……』

それに、やっぱりこの話をするにはまだ私が怖がっているというのもある。
厭きられたら…見限られたら……そう思うと、どんどん気後れになる。

「…僕は離れていかないよ。寧ろ離れない。ずっとAの事を支えるんだって誓ったから」

『……ま、ふ…』

「…例えAの前世の容姿が今と違っても、AはAであることに変わりないから。ね？」

『……うん……うん…！』

まふはいつもそうだ。私が不安になったり恐怖に苛まれているとき、いっつも私の頭を撫でながら不安に思っていることを根本的に拭い去ってくれる。だからいつも、その優しさに甘えてしまう……
テセウスの船とか、関係ない。やっぱり怖かったけど、まふがその怖さを消してくれる。
でも、まふの目は何も映そうとしない光の無い瞳だった。いつものような、優しい赤色の瞳ではなく。少しの恐ろしさも感じるが、たまにそういう事があるからどうってこともない。
私は、まふが傍にいてくれるだけでいい。それ以上もそれ以下も望まない。
今日の空の満月は、蒼く霞みながら光っていた。まるで、






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―――光の無いまふの深紅の瞳のようだった。







「僕の妄想に付き合ってくれるのはAだけだなぁ、やっぱり」

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