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そらるさんは、どう話そうか迷っているようで、考えていた。
そのまま話せばいいのだが、なにか不都合な点が水上さんにあるのかもしれない。
僕はそらるさんが話始めるのをじっと待った。
「・・・・・・まふとAは5年の時に知り合って仲が良かったらしい。6年のとき、違う中学に行くということを知って、お互い何かを渡そうという話になって、まぁ、それがお守りと栞だったってことだ。その縫ってある花は勿忘草っていう花で、花言葉は忘れないで。中学に行っても友達だっていう意味合いらしい」
『・・・つまり・・・このお守りは、水上さんが僕にくれたものってことですか?』
「そうなんよ!!何か思い出さへん?」
さかたんにそう言われ、僕は手の中にあるお守りをじっと見つめた。
すると、あの時のようにまた頭が痛みだした。
それと同時に、また真っ白に光って、フラッシュバックした記憶。
【真冬、別れても・・・友達だよ?】
【うん!___のこと、忘れないよ】
【私だって忘れないよ!】
そう女の子が言うと、指切りを交わす、僕と目の前の女の子。
『・・・今・・・フラッシュバック?みたいな感じのがありました。なんか、約束してました』
「え?誰が約束してたん!?」
「いや、まふくんやろ。逆にまふくんやなかったら誰の記憶ってなるやん。普通は誰とやろ」
「たしかにそやな」
さかたんとセンラさんが、僕の目の前でコントのようなものを繰り広げているが、それを無視してうーんと考える。
また、名前が分からなかった。
「・・・思い出すきっかけになって良かったな」
浦田さんが頬杖をしながら言った。
浦田さんは僕が考えていたことをきっと分かっていただろう。
僕がその子の名前を言っていなかったのを浦田さんは逃さなかったんだとすぐ分かった。
なぜなら、皆笑っているのに浦田さんだけは悲しそうな、辛そうな表情をしてたから。
僕がその子の名前を一番知りたいというのを浦田さんはきっと分かっているから。
それを言わないのは、浦田さんなりの優しさ。
『・・・・・・はい』
そういう人のことを考えられるところは、昔から変わらない。
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あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!ここまで読んでいただき嬉しいです!その後のお話はかなり遅いペースだと思いますが更新させていただきますので、それまでお待ちいただけると幸いです! (2022年7月17日 20時) (レス) id: 4e3b964e65 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2022年7月17日 11時) (レス) @page50 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - つむぐさん» ありがとうございます!面白いと思ってもらえたうえに感動までしてもらえたなんて・・・本当にありがとうございました! (2020年8月9日 13時) (レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)
つむぐ - 完結おめでとうございます!とても面白くて感動しました!これからも応援してます! (2020年8月9日 12時) (レス) id: 88b02305d1 (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(プロフ) - きささん» ありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです!心に残る作品とまで言っていただいて・・・本当にありがとうございます! (2020年3月14日 8時) (レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あづの ひみ(元朝日菜薔薇) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/AdAsnhmp/
作成日時:2020年2月15日 8時