4章 過去と真実 ページ20
日曜日。
私は一ノ瀬先輩の家にいた。
一ノ瀬先輩の家に行くということを本人には話すのを忘れてしまい、私が来たとき、かなり驚いていた。
出してもらったお茶を飲みながら、連絡しておけばよかったな、なんて思っていたが、あのときの顔はちょっと面白かったからなという気持ちもあり、後悔はしていない。
「・・・それで?今日はどうしたの?」
昨日忘れ物したなら探していいよ、なんて無表情で言う一ノ瀬先輩。
私は違います、と否定して、一息おいてから今日来た用件を一ノ瀬先輩に言おうと口を開いた。
『・・・来た理由は、相川のことなんですけど』
私が真冬の名前を出すと、一ノ瀬先輩の眉がピクリと動いた。
真剣な眼差しで私のことを見る一ノ瀬先輩。
自分の幼馴染みの話だからきっと気になるのだろうけど、そんな人いたことないから、少し羨ましくもある。
でも、今日はそんなことを話に、一ノ瀬先輩の家に来たわけではない。
『相川は、中学の時なにかあったんですか?敬語って、そのときについたものですよね?』
一ノ瀬先輩の目が分かりやすく動く。
何があったのか知っているようだけど、話そうとはしてくれない。
本人に口止めされているのか、私に話してもいい内容なのか迷っているのか、どっちにしろ、私には話しがたい内容なのかもしれない。
私が、踏み込んじゃいけないところなのかもしれない。
そう思うと、少し悲しいような、寂しいような感じかするけど、こっちも引けない。
私は一ノ瀬先輩のことをじっと見る。
「・・・あったにはあったけど・・・何で?」
『それは・・・』
私も、自分と真冬のことを話してもいいのかためらった。
すると、急にリビングの扉が開いた。
「そらるさーん・・・って、あれ?Aちゃん?なんでおるん?」
そこには、不思議そうに私のことを見る坂田が立っていた。
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あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - 桜鈴(みすず)さん» ありがとうございます。私は東京なのでいつ感染するのかとビクビクしていましたが、桜鈴さんのコメントを見て頑張ろうと思いました。桜鈴さんもコロナに負けずに頑張りましょう。 (2020年4月13日 11時) (レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)
桜鈴(みすず) - これからも頑張って下さい。コロナウィルスに負けないよう、群馬から応援し続けていますね。 (2020年4月13日 7時) (レス) id: 3e552d64a0 (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - 桜鈴(みすず)さん» コメントありがとうござます。私もこんな物語があったらと思って書いていることが多いので、同じ気持ちの方がいてくれて嬉しいです。私の作品を見て泣いてくれてありがとうございます。 (2020年4月12日 11時) (レス) id: 519239ae11 (このIDを非表示/違反報告)
桜鈴(みすず) - 何度か、泣いてしまいました。こんな物語があったらよかったのに。 (2020年4月11日 23時) (レス) id: 3e552d64a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あづの ひみ(元朝日菜薔薇) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/AdAsnhmp/
作成日時:2020年1月18日 15時