乗り間違い2 ページ2
「ここを離れられる者が居なくて困っていたところだが、この様子ならリゼンブールへのお使いも問題なさそうだ」
…☆…
「とは言ったものの、駅ってこんなに居心地悪かったっけな」
昼間の駅構内は多くの人で賑わっていた。
おまけに音も色々騒がしい。
――もう遭難しそう……!!
遭難こそしなかったものの、まさかの逆方向に乗ってしまう、というミスを犯したダリア。中央駅内で戸惑っているところ、見覚えのある男性に声を掛けられた。
「ダリアちゃん!」
背は高くて四角い眼鏡の彼は、エルリック兄弟の次にイーストシティの駅で見送った人物。
傷の男の事件でお世話になったあの人だった。
「マース・ヒューズだ」
ゆったりした紺色のシャツを身に纏ったヒューズは、生真面目そうな軍服姿よりも、親しみやすくアットホームな印象を受ける。
「ヒューズさん! どうしてここに?」
「ロイの奴から電話が来てな。助けてやってくれ、って」
そういって歯を見せて笑うヒューズ。東方司令部での仕事が終わり、列車で中央に戻ってきた彼は、今日は非番だった。手に持っている列車の時刻表を確認しつつダリアに顔を向ける。
「ここで残念なお知らせなんだが、今日はもう東部行きの列車は出ない」
「えっ」
明日まで列車を待ち続ける事になるのか。この見知らぬ都会で。ダリアが面食らって固まっていると、ヒューズはこれまた豪快に笑った。
「そう絶望的な顔するなよ。今晩はウチに泊まるといい」
「えっ、そんな。悪いですよ」
出会ったばかりの人にお世話になるわけにはいかない。金銭的にはここからリゼンブールまで行ってイーストシティに戻るのが食費考慮せずでギリギリくらいだが、大丈夫。長年の貧困生活により、野宿なら慣れている。
「ちなみに」とヒューズは口を開く。
「ロイからは『絶対に屋外で寝かすな』と言われている」
「うぐっ……」
ダリアの考えはマスタングにはお見通しだったようだ。以前『今夜は路上で寝る』と話したときの子犬を見るような目を思い出す。何となく腹のたつ顔だ。
「あいつなりに心配してるんだ。それに……」
「それに?」
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ウィワクシア(プロフ) - もぶおじさん» コメントありがとうございます!!嬉しすぎてころげまわってました。精進しますので今後ともよろしくお願いいたします! (2019年3月20日 16時) (レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
もぶおじ(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからの展開に心を躍らせて待っております。体に気をつけて更新頑張ってください! (2019年3月20日 1時) (レス) id: d5af19b99a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウィワクシア・D | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/
作成日時:2019年3月19日 14時