乗り間違い１ ページ1
オレンジ色の斜陽が乱反射する駅構内。
そこにある公衆電話の前で一人たたずむダリアは、緊張する指先でダイアルを回した。
｢……私だ｣
受話器からは耳に馴染む低い声。それを聞くや否や、ダリアは謝罪を口にする。
｢すみません、マスタングさん｣
｢……どうした?｣
何事かと思いつつも冷静に尋ねる電話の向こうの主人に、ダリアは今しがた気付いた自分のミスを心苦しくも申告した。
｢ご指示通りニューオプティン行きの列車に乗るはずが……間違えて
｢は?｣
何がどうなってそうなったのかと戸惑うマスタング。何故ならダリアの出発した駅から目的地とは真逆の方面にたどり着いているからだ。
｢すみません……一人で、列車に乗ったことがなくて……｣
言いづらそうに弁明するダリアに対して、すこし納得いったようにマスタングはボソリと一言呟いた。
｢……箱入り娘｣
｢悪かったですね 駅の使い方も知らなくて! 悔しくないですから!!｣
受話器の向こうでムキになって拗ねるダリア。相変わらずイジり甲斐があって面白いが、投げっぱなしの指示もまずかったか。マスタングは対応を考え始める。
予想外のポカミスをやらかしてくれたダリアをいかにして救済しようか、と。
…☆…
｢忘れ物?｣
傷の男の一件の後、エルリック兄弟が破壊された機械鎧を修理するため彼らの故郷へと旅立った日。
ショウ･タッカーの起こした事件の調査レポートを提出しに司令部に訪れていたダリアはその帰り、マスタングに呼び出され執務室へやって来たのだった。
目の前には卓上に置かれた丈夫な麻布の巾着袋が一つ。これがエルリック兄弟の忘れ物だという。
袋の紐を緩めて中を覗いてみると、そこには大小様々な金属片が詰まっていた。傷の男の攻撃を受けたときに飛散したアルフォンスの欠片だ。断片には錬成痕特有の幾何学的な凹凸が浮かんでいる。
｢これ、無いと困るんですか?｣
｢わざわざ連絡してくるくらいだ。有り合わせの材質では成分比率が異なるらしい｣
どうやらアルフォンスの鎧に異材質の継ぎ足しを行う訳には行かないらしい。
ダリアが試しに袋を持ち上げてみると硬質な砂利を鳴らした様な音と同時に袋が机を離れる。沢山入っているだけあって中々の重量だ。
｢軽々と持ち上げるものだな……｣
感心したようにマスタングが言う。
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ウィワクシア(プロフ) - もぶおじさん» コメントありがとうございます!!嬉しすぎてころげまわってました。精進しますので今後ともよろしくお願いいたします！ (2019年3月20日 16時) (
レス) id: 4474fbdae4 (このIDを非表示/違反報告)
もぶおじ(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからの展開に心を躍らせて待っております。体に気をつけて更新頑張ってください! (2019年3月20日 1時) (レス) id: d5af19b99a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ウィワクシア･D | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/793fed8a0b1/
作成日時：2019年3月19日 14時
