水族館から始まる恋【深海奏汰】

一話 ページ3

私は一心に鉛筆を動かしていく。


さらさらと心地よい音が静かな空間に響く

青い水に囲まれた空間。私が家のつぎに落ち着ける場所。


ふと動かしていた手を止めて考える。


_____ここに、友達を入れてあげたい。


そう思って、目を閉じる。


記憶をたぐりよせ、想う。


ほら、目を開けたらそこはもう________海の中だ。


綺麗なエメラルドグリーンの水。


そこを進むとやがて小さな魚たちが姿をあらわす。


頭上で優雅に泳ぐマンタ。あわててイソギンチャクに帰るクマノミ。水面でキラキラ太陽が輝く。


足元の砂はまだ白くて________









⁇「『やさしい』かおの『いるか』ですね…☆」








突如響いたその声に、私は現実へと引き戻された。






あ「わあっ⁉だっ、誰…！」


あわてて振り返った先にいたのは


⁇「あ、ごめんなさい。『おどろかせ』ましたね」


まるで今しがた私が想像した海のような色の綺麗な髪。


鮮やかなエメラルドグリーンの目。


ふわふわと独特な動きをしながら微笑む、海の化身のような男の人。









________これが、私と彼の出会いだった。

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