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竈門炭治郎さん 壱 ページ1

「炭治郎くん!おかえりなさい!」

大好きな彼が任務を終えて帰ってきたと聞いて早速玄関へ。
そこにはまた傷を増やし、ぼろぼろになりながらも私に笑顔を向けてくれる優しい彼がいた。

「ただいま、A。留守中どうだった?怪我とかしてないか?」

不安そうに眉を下げて、そっと頬を撫でられる。
とても暖かい手。

「平気よ。それに、私よりも炭治郎くんの方が怪我だらけじゃない。また無茶をしたんでしょう…。
私はこの蝶屋敷で怪我をするとしたらただのかすり傷くらいだけど、炭治郎くんは違うでしょう…?」

そっと炭治郎くんの手を握り、すり、と頬を寄せれば炭治郎くんは困ったように微笑んだ。

「仲間や人を守り、鬼に立ち向かっていく炭治郎くんはとても素敵よ、かっこいいわ。
でも、私は炭治郎くんが怪我をするのはとても悲しい」

ぽろ、と抑えられなかった涙が頬を伝う。
すると炭治郎くんはぐい、と親指で涙を拭ってくれる。
鍛え抜かれた、剣士の手。
でもその手はとても暖かく、優しい。

「A。俺は例えかすり傷だとしてもAが傷付くのは悲しい。だから自分が傷付くことを些細なことだと思ってしまわないでくれ…。」

「俺の傷なんて、いいんだ。人を守れた。鬼を倒せた。
その証だ。
だけど、Aにそんな顔をさせたくない。これからはなるべく気をつけるよ」

ふわ、と笑った炭治郎くんは何度も私の頭を撫でた。
何度も、何度も、ゆっくりと撫でてくれた。

でもきっと、次に帰ってきた時はまたぼろぼろになっているんでしょう。
知ってるわ、炭治郎くんはそういう人だもの。
自分より、他人を優先する人だから。

だからせめて、ここで休むときくらいは
貴方をとびきり甘やかして、好きな物を作ってあげるの。
そして暖かい気持ちのまま、ぐっすりと眠ってほしい。

「約束よ、炭治郎くん。
みっともなく泣いちゃってごめんなさい。手当をするから来て。」

涙を払って、いつものように部屋へ案内しようとすると突然引かれる腕。
そのまま炭治郎くんの方へ強く引かれ、ぎゅう、と抱きしめられる。
トク、トク、と鼓動が聞こえる。

「炭治郎くん……?」

顔を上げると、炭治郎くんの瞳と視線が合う。
パチリ、と合った視線は逸らすことが出来ない。
じいっと見つめられ、恥ずかしさで顔に熱が集まってくる。

「た、炭治郎くん、あの、」
「A。」
「はい!?」

耳元で囁かれた声に驚いてつい大声で返事をしてしまう。

竈門炭治郎さん 弐→



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三色 ─みしき─(プロフ) - 煉獄推しさん» 申し訳ありません。只今リクエストは受け付けていません。 作品を読んでくださりありがとうございます (2021年7月4日 10時) (レス) id: d6f8835509 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄推し - リクエストオッケーですか?オッケーなら、返信が来たときに送りたいのですが… (2021年7月2日 18時) (レス) id: c685ed7b70 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» いえいえ、拙いだなんてそんな!みしろさんの作品大好きです!いやいや、私こそ様なんて付けなくていいのですよ…!あわわ、ありがとうございます…!変則的なので不安ですがもそもそ活動していきます…! (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - すいさん» なんと……!!私の拙い文章を読んで下さっていたとは!!有り難き幸せ!!様なんて付けないでください!!むしろ此方が様を付けなければいけないような……(?)すい様のペースで良いのですよ…… (2019年7月4日 2時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» みしろ様 ひょえ〜ッッ!ありがとうございます…!実はこっそりみしろ様の作品を見てましてひっくり返りそうになりました…。ありがとうございます、まったりと更新していきますね(´▽`) (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三色 | 作成日時:2019年6月17日 3時

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